「かつて何も自信を持てなかった自分が、演奏だけは自信を持てるようになった」と言う人がいた。
「あなたが先生になったら、生徒と信頼関係を築くことは出来そうですか」と問えば、その人は「それは難しい事です」と答えた。
これらの発言は興味深い。「自信」も「信頼」も、実は英語やフランス語では同じ言葉なのだ(英:confidence / 仏:confiance)。
その意味を僕はこう考える。
自信のある人は相手の懐に飛び込むことが出来、信頼関係を作り易い。
或いは「自信」とは自分への信頼であり、自分を信頼できない人が他人から信頼されたり、他人を信頼したりするのは難しい。
==フランス人AnethさんとGlycineさんのコメント==
Aneth: いつもながら考えさせられる内容!「自信」は教育にとって魅力的なテーマね。あるレベルの教師は、残念な事にしばしば出会ってきたのだけれど、彼の自信が生徒を押さえつけたりするから。反対に自信の無い教師は、彼の言う事に丸ごと言い返すような生徒と信頼を築くことは出来ない。つまり相手からの信頼に結実するのは価値のある自信、言わば最も気高い「思慮分別」。
Glycine: 自信さえあれば相手の懐に飛び込める、という訳ではないでしょう。人は社会的、文化的、職業上、また政治的な、心に及ぼす色んな制約を受けているのだから。傷付き易い生徒を落胆させるようなはっきりとした物言いは、やる気を引き出すのによい方法では無いのでは。
Aneth: 「懐に飛び込む」とは「心の中に入り込む」という意味だと思うし、この内容はそんな広範囲のことを言っているのではなく、音楽の指導の事よ。音楽を学ぶより良い方法は、先生と共に深く感じ、体で理解し、心と楽器で色んな感覚を使って先生とやり取りすること。そうして公衆の前でも自信を持つ事が出来る。このような師弟関係はあなたが引合いに出した俗社会の諸々の向こうにあるのよ。
悟さん、フランス語の"donner confiance"には「信頼関係を作る」と「自信を付けさせる」の二つの用法があるの。「先生に自信が無くて、生徒と信頼関係を築けるだろうか」これはあなたの論旨ね。でも私はこう付け加えたい「生徒に自信を持って演奏させることが出来るだろうか」と。
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