江戸川区平井五丁目―芸大の学生のころ住んでいました。和気藹々とした、人情味あふれる街です。東京はどこもそうですが、とりわけこの地域は低層住宅街で人口密度が高いです。
僕が住んでいた木造集合住宅には「お隣さん」が一体いくつあったか…アパートの中にワンルームが全6部屋、そのどこかで音楽をかければ聞こえる。何しろ隣の部屋なら照明の、ひもで引っ張るスイッチの音さえ夜は聞こえるのです。
そしてアパートの四方を囲んで隣宅が5軒。どこかが音楽をかけるとそこで僕の作曲は中断してしまうので、その度に「自分はこういう者で作曲をしているが、ご家族でのカラオケパーティーそれ自体をとやかく言うつもりは無いが、こちらに音がまる聞こえで困っている…」と、手紙を書いてドアに挟んだり、時には石鹸を添えたり、時には現行犯?で直接言いに行ったり、また時にはわざわざ葉書に書いて郵送したり…。
そうこうするうちに、「住人調査をしているのですが」と、お巡りさんがやってきました。もっともらしい調書を持って。「最近、近所で困っていることは無いですか?」と聞かれ、僕は正直に答えました…「困ったことがあったらいつでも言って下さい」とか何とか言われたかな?警察沙汰になるほどの人口密度でした。
今もそのアパートは当時の姿のまま残っています。借りる時、新宿の不動産会社で大家さんと電話し、「出窓、モルタル、飛石、欧風レンガ…」との外観説明に胸をときめかせ、行って見たらこれ。「このアパートの6部屋全部借りられたら、うるさい部屋から逃げられるのに…」と幾度も思いました。
―その名も「メゾン・ドール」即ち「黄金の家」(写真:僕が住んでいたのは2階)。
そこから駅に行く途中、ちょっと路地裏に入ると小柄な店主が営む昔ながらの駄菓子屋さん「ぼうや商店」があり、今でも子供たちで繁盛しています。
ちなみに卒業以来勤務している会社は本社が6丁目にあり、近所の楽器店にふらり…という風なセーターにジーンズ姿で社長との面接・実技試験を受け、採用されたのです。
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