次の曲は尺八にギターと弦楽三重奏が加わる五重奏曲。ギターをどう扱うか…琵琶のように、琴のように、三味線のように?
自分で音を出しながら考えたいと思ったから、買った。奏法のテスト用だから安いので良い。
ギターを買うのは初めてでは無い。ギタークラブに入っていた中学1年のお正月、お年玉で買った。
それ以来実家に置いたままだったが、1989年に「窪田般彌の詩による2つの歌曲」を作曲する際、演奏会の企画者からギタリストを使うよう勧められ、実家に帰った時久々にそのギターを弾きながらギターのパートを作った。
弦を押さえる左手の指先が水ぶくれになり、つぶれた。当時すでにそれは古かった。ほこりっぽく、弦は錆び、音も満足なものでは無かった。
今度買ったギターは、お年玉で買ったギターのほぼ倍の値段だ。しっかり、きれいに響く。テスト用には十分過ぎるくらいだ。
琵琶のような音はなかなか出ない。らしいのは弦を指板にぶつける音くらいか。
ハーモニックスの音は楽器の個性が消され、ハープのような澄んだ音になる。これは使おう。
弦は6本。もし弦を1回ずつ使って6音のハーモニックス音型を作る場合、音の順番を変えることによって出来るパターンは、6×5×4×3×2×1=720通り。
それを全部譜面にしたら多すぎ、却って煩わしい。その6分の1の120通りだけを譜面にした。
この120通りは、最初の1音を限定した場合の、順列の全パターンを意味する。それ以外の5音のいずれかで始まる音型については、始めの音をずらして読めば良い。
素材が単純であればある程、運用は緻密に。
出だしが決まったら、骨子となるイメージがはっきりしてきた。もつれた毛糸の塊がするするっと解けた。
全体の響きはギターで無ければ作り得なかった響きによって決定された。
結果的にこれもまた、現代音楽らしからぬ音楽になるだろう。
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