池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

追い込まれてイタリアン

2007-11-21 | 作曲/言葉・声

いや~参った!英語のテキストで作曲していた合唱曲が、実はイタリア語以外はだめだったとは。
〆切の2週間前に完成し、次は何を書こうかと、世界中の作曲コンペをネットで探していたら、その合唱曲のコンペが別のホームページに簡潔に紹介されていて、原典のイタリア語以外は不可、と明記されていた。
ウソだろう、と思ったが、元の要項をもう一度読んだ。命令口調ではない上品な文章なので、イタリア語「でもよい」と僕は解釈してしまっていたが、なるほど、イタリア語「でなければだめ」という意味らしい。
それで色々な事が腑に落ちた。用いたテキストの出版社名を書かねばならないのに、訳者名は求められていないこと等…。

その文学作品のイタリア語原典を取り寄せるには3~5週間かかる。
近所の図書館のホームページで蔵書を検索したら、近隣の区や市、勤務先の渋谷や池袋などの図書館には無く、地元の大きな図書館にだけあった。
開館日、出勤前の朝一番に借りに行った。正解を手にした思いで飛んで帰った。
タイトルは"Te lucis ante"(光消えざる前に)に変更した。

それからはピアノも弾かず、睡眠時間も削り、イタリア語への改訂に没頭した。
イタリア語は勉強したことが無い。ただ、イタリア歌曲は大学受験の高3の時から大学2年まで多少は歌ったが、その程度では無知に等しい。
シラブルの切り方やイントネーション、言葉のリズムも分からない。
持っているイタリア歌曲集の巻末の説明や、イタリア語の辞書と首っ引きで、一語ずつ音に当てはめていった。イタリア歌曲の実例も参照した。
声楽家の知人に、PC.で作成した譜面を出来た所までメールして見て頂き、おかしい箇所を電話で指摘して頂いた。

だんだん慣れてきたが、慣れた積もりになった時が危ない。うっかりシラブルの切り方の規則の一つを忘れ、間違いに気づき、最初から見直した。
古いイタリア語なので、辞書には載っていない綴りもある。とは言え、古かろうと新しかろうと、僕には未知の言語という意味では同じこと。
深夜3時を過ぎる頃には頭が朦朧とし、一体自分が何を考えていたのかさえ分からず、ただボーっとしてしまった。
寝た方が良い、と思ったら解決案が浮かび、それはメモし翌朝実行に移す。
テキスト内容の区切りと、音楽の区切りを完全に一致させようとすると、がんじがらめになって身動きが取れなくなる、という結論に達した。

始めは、英語で作ったメロディーをイタリア語のリズムに当てはめることしか考えられなかった。
まずリズムがはまらなければ、歌詞が打ち込めないから。イントネーションは二の次だった。
プリントし、コピーしたのをもう一度見たら、直すべき所がいくつも見つかり、直してプリントし、今度こそ良いだろうと思って見たら、また駄目な所が見つかり…紙が散乱した。
そんなことを繰り返すうちに、イタリア語も英語とそれほど変わらない感覚で音に乗せることが出来るようになったような気がする。
昨日、何とか〆切日に発送した。
(写真:初台オペラシティー・リサイタルホール)



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