ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

ポルトのカフェ・マジェスティック

2018-01-08 15:38:10 | ポルト
2017年1月8日 

ベル・エポック(フランス語、belle epoque )と言う言葉をご存知だろうか。フランスでパリを中心に新しい文化や芸術が栄えた19世紀末から20世紀初めにかけての時代を言う。女優のサラ・ベルナール、ロートレック、詩人ランボー、ボードレールなどが活躍した時代だ。
 
パリの一番最初のカフェのお目見えは1667年と聞く。1715年には300ほどのカフェがパリにあった。これらの中でも最も有名なのは「カフェ・ド・プロコープ」。ボルテールやルソーが常連客だった。
 
フランス革命時期には、政治家やマラー、ロベスピエール、そして若き日のナポレオン・ボナパルトも集っていたと言われる。このカフェは現在では「ル・プロコープ」としてパリでも老舗のレストランとして営業おり、筆者は2007年秋にパリを訪れた際、そこで夕食を楽しんで来た。

さて、ポルトの最初のカフェは「Café Lusitano」と呼ばれ1853年に開店した。1921年、パリにはかなり遅れてではあるが、ポルトの目抜き通りSanta Catarinaに建築家ジュアン・ケイロス(João Queirós)によって開店された「カフェ・エリート」が、Majestic Caféの前身になる。(1922年改名)

20年代には文人や芸術家たちが集い、討論に花咲かせたマジェスティックは、ベル・エポック時代の歴史を語る「ポルトのエスプリ」とも言えよう。マジェスティック はその古きよき時代の名残を今に残している。


2016年1月現在 

しかし、60年代に入ると、時代の変化に抗えずに衰退。わたしがポルトに来たのは1979年だったから、この当時はカフェは閉店したままであった。80年代に入って詩の文化遺産としてポルトっ子たちの関心を集めるになった。10年の年月をかけてオリジナルの華麗なアール・ヌーボースタイルを見事に復元した。


美しいファシャーダ(正面入り口)をくぐると、店内には小さな白大理石のテーブルにアンティークの椅子、木彫り細工の大鏡が訪問者を別世界に誘う。


マジェスティックはシラク元大統領を始め国内外の著名人が多く訪れている。かのJ.K.ローリングは、ポルト在住中にここを気に入り、第一巻「ハリー・ポッターと賢者の石」の一部をここで書いたと言われる。

ローリングがどのテーブルに着いてどの章を綴ったのか、とエスプレッソをすすりながら想像してみるのも魅力的ではないか。