市民と野党の共闘の力(滋賀県)
市民と野党共闘の力:進化のハーモニー
参院選挙の結果は、安倍政権に代わり、市民と野党の連合政権をつくれる力に大きく発展したので、その合意つくりをただちに始めることを求めている。
「進化しながら、発展途上の最高形態でたたかえた。いろんな意味で、政党間も、政党と市民の間も、市民と市民の間も、ぎくしゃくを繰り返しながら、ハーモニー(調和)になった。それが勝利のカギだった。こう語るのは「市民の会しが」代表の斉藤敏康さん。滋賀県でも政権総がかりの攻撃をはねかえし、嘉田由紀子候補の勝利を勝ち取ったのは、2016年以来の共闘の力の成長と調和だといいます。
市民の行動の蓄積
滋賀県では16年以来の「市民の会しが」の活動に加え、17年に結成された「安倍改憲ノー!市民アクション・滋賀」が、市民と野党の共闘の一翼を担い地域での運動を広げてきました。斉藤氏は、「市民の会」が個人加盟組織だったもとで、市民アクションこそが「実行部隊だった」と強調。毎月19日行動での20万人を超える署名や宣伝活動が、蓄積された市民の行動として非常に重要だった』と振り返ります。
今年の6月には選挙に向けて「総がかり行動・滋賀」が結成され、連合系の人々や小さな市民グループも参加。勝利へ総結集がはかられました。
さらに日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党の4党で9項目の政策合意を交わし〔2月7日〕、統一候補の絞込みに進みました。
「政策の議論なんかしたら『ぼろくそ』に言われると、はじめはしんどいと思っていた。共通政策にするべき内容は共産党からも山盛りに出てきて、『一つ削るのは大変だ』という先入観もあった」
嘉田選対の選対部長を務めた国民民主党の徳永久志氏が県連代表はこう述べます。「しかし、実際に議論をしていくと、違いを持ち込むことはなかった。それが全体の流れの中で,いい雰囲気をつくっていただいた」
2月の政策合意では、原発について『原発ゼロの会を早期に実現する』とかかれましたが、再稼動問題についての明確な合意は書かれませんでした。しかし、県の北、沿岸部に原発が立ち並ぶ福井県に隣接する滋賀県で、原発再稼動をどうするかは最大の課題の一つです。情勢の進展の中で変化がやってきます。
政策合意も前進
5月29日の5党会派〔中央〕の党首による市民連合との共通政策合意で、事故検証や実効性のある避難計画がないままの『原発再稼動を認めず』と確認されます。これを受けどう31日には、滋賀での政策合意に『立憲野党4等1会派の政策に対する市民連合の要望書(共通政策)の実現をめざす』と追加合意されたのです。
嘉田候補は、この政策合意に基づいて、選挙勝利を目指す協定書に合意。嘉田氏が、“9条改憲阻止”“消費税10%増税反対”“原発再稼動反対”の姿勢を明確にしたことで,たたかいへの一体感が一気に強まったのです。
中央での13項目の共通政策合意が、地方の現場の努力と結合して、前進をもたらしました。嘉田選対の本部長を務めた国民民主党・滋賀県連代表の徳永久氏は今、『違うことをことさらにあげるのではなく、一致できる部分、共通部分を最大化する。それが野党共闘の肝の部分だ』と強調します。「こういうやり取りを共産党の県委員会とやり取りしていると、この人がどういう感じの人かわかってくる。夜の11時くらいに携帯で『これはちょっと』と意見をいたこともある。人間関係がないとできない」。違いの中で一致点を探り、真剣な議論を重ねる中で信頼関係が生まれました。
そのうえで徳永氏は『参院は野党で1本化して勝った。衆院は政策選択だから各党はバラバラでたたかいいましょうという結論を出すほうがおかしい』と語り、『総選挙で政権構想を県民に出していく』必要性を指摘しました。
大激戦を制して
今回の10選挙区での勝利で、16年とあわせ勝利を経験した地域は、32県中14県に広がり、2回とも勝利したところは7県〔岩手、宮城、山形、新潟、長野、大分、沖縄〕です(青森、福島、山梨、三重は16年、滋賀、愛媛は19年勝利)
1人区で共闘する野党の比例得票の合計を野党統一候補の得票がどのくらい上回ったか=「共闘効果」で見ると、16年次から野党の構成に変化があるため単純に比較できませんが、16年の平均120.9%に対して、今回19年参院選では127.4%に前進しました。20選挙区〔県〕で16年の実績を上回りました。100%を超えたところは28から29に増えました。とりわけ今回上位の4県は、愛媛212%、滋賀163%、秋田155%、山形153%と非常に強い共闘効果が現れ、大激戦を制して自公候補を打ち破りました。また、借敗したもののならと長崎で147%、熊本137%、香川123%など、当選県並みかそれ以上の高い共闘効果をあげているところもあり、今後の勝利へ大な土台を築いています。得票率は、全国平均で48.8%と過去2番目の低さでしたが、野党統一候補が勝利した選挙区では、やまがた60.74%と全国1位、岩手56.55%、秋田56.29%、新潟55.31%、長野54.29%〔総務省データー〕など、トップ5はいずれも野党統一候補が勝利した県です。「投票しても変わらない」ではなく「一票で変化が起こせる」という状況を作り出せば、投票率も上昇する側面が示されています。
ノウハウの蓄積
共闘が地域レベルで力を強めることで、14県に広がった勝利体験が、さらに広がる可能性が示されています。
東京大学の宇野重規教授〔政治学〕は、「草の根から野党共闘を作っていくという機運と文化とノウハウの蓄積。これはだいぶん進んできた」「瞬間風速的に盛り上がって国会前に集まるような力は当面弱まったが、地域に定着した組織作りは進んだ。特に東日本は明らか」と指摘します。「野党側が選挙を動かすときに、やはり地域の力が圧倒的に重要です。国会でいくら離合集散をしても短期的意味しかなく長期的には意味はない。そのなかで、どれだけ野党が地域に組織を作り、共闘の経験と文化を蓄積するかが重要です」
(新聞赤旗8月19日の抜粋・記録にとどめる)
市民と野党共闘の力:進化のハーモニー
参院選挙の結果は、安倍政権に代わり、市民と野党の連合政権をつくれる力に大きく発展したので、その合意つくりをただちに始めることを求めている。
「進化しながら、発展途上の最高形態でたたかえた。いろんな意味で、政党間も、政党と市民の間も、市民と市民の間も、ぎくしゃくを繰り返しながら、ハーモニー(調和)になった。それが勝利のカギだった。こう語るのは「市民の会しが」代表の斉藤敏康さん。滋賀県でも政権総がかりの攻撃をはねかえし、嘉田由紀子候補の勝利を勝ち取ったのは、2016年以来の共闘の力の成長と調和だといいます。
市民の行動の蓄積
滋賀県では16年以来の「市民の会しが」の活動に加え、17年に結成された「安倍改憲ノー!市民アクション・滋賀」が、市民と野党の共闘の一翼を担い地域での運動を広げてきました。斉藤氏は、「市民の会」が個人加盟組織だったもとで、市民アクションこそが「実行部隊だった」と強調。毎月19日行動での20万人を超える署名や宣伝活動が、蓄積された市民の行動として非常に重要だった』と振り返ります。
今年の6月には選挙に向けて「総がかり行動・滋賀」が結成され、連合系の人々や小さな市民グループも参加。勝利へ総結集がはかられました。
さらに日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党の4党で9項目の政策合意を交わし〔2月7日〕、統一候補の絞込みに進みました。
「政策の議論なんかしたら『ぼろくそ』に言われると、はじめはしんどいと思っていた。共通政策にするべき内容は共産党からも山盛りに出てきて、『一つ削るのは大変だ』という先入観もあった」
嘉田選対の選対部長を務めた国民民主党の徳永久志氏が県連代表はこう述べます。「しかし、実際に議論をしていくと、違いを持ち込むことはなかった。それが全体の流れの中で,いい雰囲気をつくっていただいた」
2月の政策合意では、原発について『原発ゼロの会を早期に実現する』とかかれましたが、再稼動問題についての明確な合意は書かれませんでした。しかし、県の北、沿岸部に原発が立ち並ぶ福井県に隣接する滋賀県で、原発再稼動をどうするかは最大の課題の一つです。情勢の進展の中で変化がやってきます。
政策合意も前進
5月29日の5党会派〔中央〕の党首による市民連合との共通政策合意で、事故検証や実効性のある避難計画がないままの『原発再稼動を認めず』と確認されます。これを受けどう31日には、滋賀での政策合意に『立憲野党4等1会派の政策に対する市民連合の要望書(共通政策)の実現をめざす』と追加合意されたのです。
嘉田候補は、この政策合意に基づいて、選挙勝利を目指す協定書に合意。嘉田氏が、“9条改憲阻止”“消費税10%増税反対”“原発再稼動反対”の姿勢を明確にしたことで,たたかいへの一体感が一気に強まったのです。
中央での13項目の共通政策合意が、地方の現場の努力と結合して、前進をもたらしました。嘉田選対の本部長を務めた国民民主党・滋賀県連代表の徳永久氏は今、『違うことをことさらにあげるのではなく、一致できる部分、共通部分を最大化する。それが野党共闘の肝の部分だ』と強調します。「こういうやり取りを共産党の県委員会とやり取りしていると、この人がどういう感じの人かわかってくる。夜の11時くらいに携帯で『これはちょっと』と意見をいたこともある。人間関係がないとできない」。違いの中で一致点を探り、真剣な議論を重ねる中で信頼関係が生まれました。
そのうえで徳永氏は『参院は野党で1本化して勝った。衆院は政策選択だから各党はバラバラでたたかいいましょうという結論を出すほうがおかしい』と語り、『総選挙で政権構想を県民に出していく』必要性を指摘しました。
大激戦を制して
今回の10選挙区での勝利で、16年とあわせ勝利を経験した地域は、32県中14県に広がり、2回とも勝利したところは7県〔岩手、宮城、山形、新潟、長野、大分、沖縄〕です(青森、福島、山梨、三重は16年、滋賀、愛媛は19年勝利)
1人区で共闘する野党の比例得票の合計を野党統一候補の得票がどのくらい上回ったか=「共闘効果」で見ると、16年次から野党の構成に変化があるため単純に比較できませんが、16年の平均120.9%に対して、今回19年参院選では127.4%に前進しました。20選挙区〔県〕で16年の実績を上回りました。100%を超えたところは28から29に増えました。とりわけ今回上位の4県は、愛媛212%、滋賀163%、秋田155%、山形153%と非常に強い共闘効果が現れ、大激戦を制して自公候補を打ち破りました。また、借敗したもののならと長崎で147%、熊本137%、香川123%など、当選県並みかそれ以上の高い共闘効果をあげているところもあり、今後の勝利へ大な土台を築いています。得票率は、全国平均で48.8%と過去2番目の低さでしたが、野党統一候補が勝利した選挙区では、やまがた60.74%と全国1位、岩手56.55%、秋田56.29%、新潟55.31%、長野54.29%〔総務省データー〕など、トップ5はいずれも野党統一候補が勝利した県です。「投票しても変わらない」ではなく「一票で変化が起こせる」という状況を作り出せば、投票率も上昇する側面が示されています。
ノウハウの蓄積
共闘が地域レベルで力を強めることで、14県に広がった勝利体験が、さらに広がる可能性が示されています。
東京大学の宇野重規教授〔政治学〕は、「草の根から野党共闘を作っていくという機運と文化とノウハウの蓄積。これはだいぶん進んできた」「瞬間風速的に盛り上がって国会前に集まるような力は当面弱まったが、地域に定着した組織作りは進んだ。特に東日本は明らか」と指摘します。「野党側が選挙を動かすときに、やはり地域の力が圧倒的に重要です。国会でいくら離合集散をしても短期的意味しかなく長期的には意味はない。そのなかで、どれだけ野党が地域に組織を作り、共闘の経験と文化を蓄積するかが重要です」
(新聞赤旗8月19日の抜粋・記録にとどめる)