小学生の低学年の頃
まだまだ可愛い盛りだったんだろうな。
仙台での話し。
おれより一つ上の 男の従兄弟が居た。
こいつと来たら…
おれが じっち ばっぱに可愛がられてるのを良い事に 一緒に悪戯をするんだ。
おれと一緒に悪さをすれば そんなにも怒られない と言う計算だ。
ある日 それまでは見かけなかった 初めての叔父が来た。
じっち・ばっぱの家は二階建てで 下の階の奥には風呂が有り 直ぐ隣に小さい鶏小屋があった。
風呂と一階の間は離れているが 軒で繋がっていた。
その間隔は 大体1メートル位だった。
雨が降ったり 何処にも行きたくない時は そこでちょくちょく遊んでいたんだ。
そこの場所で 何の遊びをしていたかは忘れたけど そこに見かけない叔父が来たんだ。
普通の体格だが 筋肉が凄かった。
開口一番でかい声で「だれっしゃ?=何処の子供なのか?」と従兄弟に聞いた。
従兄弟は説明すると「おぉ~~~ぴーちゃんのが?(お袋はぴーちゃんと呼ばれていた)=ぴーちゃんの息子か」と言った。
叔父は「ちょっと 待っててけさい=少しの間 待っててくれ 挨拶したら直ぐ来る」と言い 二階に上がっていった。
その間「誰なの?」と従兄弟に聞いたら カイツマンデ話してくれた。
何でも 潜水業をしているらしい。
戻ってきた叔父は「手品やってやっか…みででけさい=手品をやるから 見てなさい」と言った。
従兄弟と二人でじっと見ていたら 叔父は鶏小屋から一羽の鶏を持って来た。
わくわくしながら見ていると「みでろ!一瞬の内に 眠らせでけっから=一瞬のうちに 眠らせてみせる」と言い 暴れる鶏を右手に持ったまま 後ろに回し 左手に持ってた時には 鶏は微動だにしていなかった。
おれは大感激して拍手をし「もう一回やって!」とリクエストをすると 叔父は「うぅ~~~ん…よし やっか!=困ったぞ…でも もう一回やってやる」と言って もう一羽の鶏を出してきて やってくれた。
手品を見た後 二階に上がって じっち・ばっぱ それに叔父と従兄弟で雑談した。
昼時になったら叔父が「どれどれ!こいず来てっから おれがおごっぺ=遠くから ぴーちゃんの息子が来ているんだから おれがお昼を御馳走する」と言った。
階下に下りて行き 暫くすると豪華な鍋料理が出てきた。
もう美味くて美味くて 何杯もお代わりした。
叔父は食い終わると「んじゃ=じゃあ また」と言って帰った。
夕方になると じっち・ばっぱと一緒に住んでいる 長男の叔父が帰って来た。
「今日は 何すんのっしゃ?=今日の夕御飯は 何にする?」と聞いた。
じっち・ばっぱは「まだいんね=まだ いらない」と言う。
叔父はおれの顔を見ながら「何かうめもんでも くわせらったのか?=何か美味しいものでも 御馳走になったのか」と言った。
じっちとばっぱは 先ほど来ていた叔父の話をし それから「そいずに 鍋ごっつぉになった=鍋を 御馳走になった」と満足げに言った。
叔父は「そおが そいずはよがしたな なんのなべっしゃ?=それは良かったな 何の鍋料理だったんだい」と言い じっちとばっぱが「水炊き」と答えた。
あくる日の昼近く おれは従兄弟と玄関先で遊んでいた。
そこへ 叔父が「はやぐおわった!=仕事が早く終わったから 帰って来た」と言い 「どれ 鶏に餌けっが=鶏に 餌を食わせるか」と言うから 一緒について行った。
叔父は鶏小屋に入った途端「あっ…あれ?!何だこいずら!=あれ おかしいぞ」と怒鳴っている。
前で見ていた おれ達二人に向かって「おめだず あいずとやったな!このくそがっきゃ!!!=お前ら 昨日の叔父と一緒に 鶏食ったんだな この糞がき」と 物凄い剣幕で 小屋から出て来た。
従兄弟と一緒に 宙を走るように逃げた。
逃げながら思い出したんだ。
昨日食べた水炊きは 例の叔父が手品と言いつつ…鶏を後ろに持って行った瞬間に 首を絞めたんだろう。
逃げた逃げた 追いかけてきた叔父は疲れたんだろう「まっでけさい!やんね!だからこっちこ!=待ちなさい 怒らないからここに来なさい」と言う。
一緒に逃げていた従兄弟はと言うと「うるせ!」とか言いながら 走り去ってしまった。
おれは素直に指示に従ったんだ。
叔父は ちょっと離れた所から「ん そんでよがすがら 来たら美味いもじかせっから=よしよし 素直にここに来れば良いんだよ ここに来たら美味しい餅を御馳走してやるから」と叫んでいる。
叔父の傍に行った途端 首根っこを押さえ付けられ 後ろから地獄の使者の声がした。
「へっへへ…やっどつかまえだ な?うんまい餅かせっから どれくらい食う?=やっとつかまえたぞ 美味しい餅を御馳走するから 何個食べるんだ」と言った。
おれは素直に「3個食う」と言った。
地獄の使者は「んだすか?んだすか?どれもじかせっからな げんごもじ!=本当にか?本当にその個数で良いんだな? どれ餅を食わせてやるから 拳固餅をな!」
その途端 頭の中に マグニチュード30の大地震が3回来た。
まだまだ可愛い盛りだったんだろうな。
仙台での話し。
おれより一つ上の 男の従兄弟が居た。
こいつと来たら…
おれが じっち ばっぱに可愛がられてるのを良い事に 一緒に悪戯をするんだ。
おれと一緒に悪さをすれば そんなにも怒られない と言う計算だ。
ある日 それまでは見かけなかった 初めての叔父が来た。
じっち・ばっぱの家は二階建てで 下の階の奥には風呂が有り 直ぐ隣に小さい鶏小屋があった。
風呂と一階の間は離れているが 軒で繋がっていた。
その間隔は 大体1メートル位だった。
雨が降ったり 何処にも行きたくない時は そこでちょくちょく遊んでいたんだ。
そこの場所で 何の遊びをしていたかは忘れたけど そこに見かけない叔父が来たんだ。
普通の体格だが 筋肉が凄かった。
開口一番でかい声で「だれっしゃ?=何処の子供なのか?」と従兄弟に聞いた。
従兄弟は説明すると「おぉ~~~ぴーちゃんのが?(お袋はぴーちゃんと呼ばれていた)=ぴーちゃんの息子か」と言った。
叔父は「ちょっと 待っててけさい=少しの間 待っててくれ 挨拶したら直ぐ来る」と言い 二階に上がっていった。
その間「誰なの?」と従兄弟に聞いたら カイツマンデ話してくれた。
何でも 潜水業をしているらしい。
戻ってきた叔父は「手品やってやっか…みででけさい=手品をやるから 見てなさい」と言った。
従兄弟と二人でじっと見ていたら 叔父は鶏小屋から一羽の鶏を持って来た。
わくわくしながら見ていると「みでろ!一瞬の内に 眠らせでけっから=一瞬のうちに 眠らせてみせる」と言い 暴れる鶏を右手に持ったまま 後ろに回し 左手に持ってた時には 鶏は微動だにしていなかった。
おれは大感激して拍手をし「もう一回やって!」とリクエストをすると 叔父は「うぅ~~~ん…よし やっか!=困ったぞ…でも もう一回やってやる」と言って もう一羽の鶏を出してきて やってくれた。
手品を見た後 二階に上がって じっち・ばっぱ それに叔父と従兄弟で雑談した。
昼時になったら叔父が「どれどれ!こいず来てっから おれがおごっぺ=遠くから ぴーちゃんの息子が来ているんだから おれがお昼を御馳走する」と言った。
階下に下りて行き 暫くすると豪華な鍋料理が出てきた。
もう美味くて美味くて 何杯もお代わりした。
叔父は食い終わると「んじゃ=じゃあ また」と言って帰った。
夕方になると じっち・ばっぱと一緒に住んでいる 長男の叔父が帰って来た。
「今日は 何すんのっしゃ?=今日の夕御飯は 何にする?」と聞いた。
じっち・ばっぱは「まだいんね=まだ いらない」と言う。
叔父はおれの顔を見ながら「何かうめもんでも くわせらったのか?=何か美味しいものでも 御馳走になったのか」と言った。
じっちとばっぱは 先ほど来ていた叔父の話をし それから「そいずに 鍋ごっつぉになった=鍋を 御馳走になった」と満足げに言った。
叔父は「そおが そいずはよがしたな なんのなべっしゃ?=それは良かったな 何の鍋料理だったんだい」と言い じっちとばっぱが「水炊き」と答えた。
あくる日の昼近く おれは従兄弟と玄関先で遊んでいた。
そこへ 叔父が「はやぐおわった!=仕事が早く終わったから 帰って来た」と言い 「どれ 鶏に餌けっが=鶏に 餌を食わせるか」と言うから 一緒について行った。
叔父は鶏小屋に入った途端「あっ…あれ?!何だこいずら!=あれ おかしいぞ」と怒鳴っている。
前で見ていた おれ達二人に向かって「おめだず あいずとやったな!このくそがっきゃ!!!=お前ら 昨日の叔父と一緒に 鶏食ったんだな この糞がき」と 物凄い剣幕で 小屋から出て来た。
従兄弟と一緒に 宙を走るように逃げた。
逃げながら思い出したんだ。
昨日食べた水炊きは 例の叔父が手品と言いつつ…鶏を後ろに持って行った瞬間に 首を絞めたんだろう。
逃げた逃げた 追いかけてきた叔父は疲れたんだろう「まっでけさい!やんね!だからこっちこ!=待ちなさい 怒らないからここに来なさい」と言う。
一緒に逃げていた従兄弟はと言うと「うるせ!」とか言いながら 走り去ってしまった。
おれは素直に指示に従ったんだ。
叔父は ちょっと離れた所から「ん そんでよがすがら 来たら美味いもじかせっから=よしよし 素直にここに来れば良いんだよ ここに来たら美味しい餅を御馳走してやるから」と叫んでいる。
叔父の傍に行った途端 首根っこを押さえ付けられ 後ろから地獄の使者の声がした。
「へっへへ…やっどつかまえだ な?うんまい餅かせっから どれくらい食う?=やっとつかまえたぞ 美味しい餅を御馳走するから 何個食べるんだ」と言った。
おれは素直に「3個食う」と言った。
地獄の使者は「んだすか?んだすか?どれもじかせっからな げんごもじ!=本当にか?本当にその個数で良いんだな? どれ餅を食わせてやるから 拳固餅をな!」
その途端 頭の中に マグニチュード30の大地震が3回来た。