梅雨の雷

梅雨の雷街たちまちに白くなり
ゆらゆらと身をあずけおりハンモック
よく冷えし梅酒とろりと舌の上

額の花

むらさきの色さまざまに額の花
梅雨曇り水の匂いの近くあり
蜘蛛の影空にかかりし巣を歩く

若竹

若竹の真っ直ぐなるを見上げおり
山の青田の青さかん早苗月
夜の窓開ければ匂う花くちなし

浴衣

とりどりの浴衣の少女踏切に
青葉山重なる彼方に六甲山
揚羽蝶夏の森へと消えゆけり

夏至

ひとり聞く終日夏至の雨音を
白雲を彼方に浮かせ青葉山
紫陽花を揺らす風あり雨あがり

ほととぎす

頂の風遠くよりほととぎす
夏木立ついと燕の飛びゆきぬ
しじみ蝶つぎつぎ湧いて夏山路

梅雨晴

梅雨晴や雲心地よく空にあり
青空を見上げバナナを頬張りぬ
アボカドの鮨や平成二十年

くちなし咲く

くちなし咲くいっそう白き夕の雨
梅雨の月仰ぎてサーブ打ち込みぬ
メーリングリストの誘い早苗月

青梅雨

夏草のきれいに刈られ寺領かな
梅雨晴れ間野菜果物買出しに
青梅雨や街灯のはや点り初む

立葵

天辺まで今朝は咲きたり立葵
平らかに雲を映せる植田かな
シニアカー荷籠にキャベツ載せて行く