涼し

荒梅雨の音を聞きつつ眠りけり
梅雨晴間水難救助の訓練中
水音の涼しき中を図書館へ

花菖蒲

花くちなし香れば始まる夜の雨
花菖蒲だけに聴かせて笛を吹く
虫取りの網持つ少年金糸梅

梅雨の雷

青空の色を集めし額の花
朝の影濃く紫陽花にかかりおり
ジャンバラヤ食べる窓辺に梅雨の雷

梅雨

荒梅雨の一夜明け水音の高く
植田はや緑の絨毯となりぬ
梅雨の川今日広々と流れおり

荒梅雨

荒梅雨の週末なれば書を開く
梅雨の雲かかり瑞穂の国となる
水あればここにも小さき花菖蒲

あめんぼ

あめんぼや空と雲とをつなぎゆく
原色の花とりどりに夏の庭
蓮の葉やころりとゆうべの雨残し

扇風機

風を生むために生まれし扇風機
河骨に近く軽鴨着水す
夏草の丈を伸ばせし一夜の雨

茂り

時折は風に揺れおり花菖蒲
山法師ひらと燕の飛びにけり
茂りよりボール落として少年に帰る

梅雨きのこ

須磨明石夏至の海辺に灯の点る
雨近ければ花くちなしの香の強く
霧透かし差す光あり梅雨きのこ

夏至

白百合のさらに輝く雨あがり
夏蜜柑ジャムのせぱりっとクラッカー
夏至なればデッキチェアーを出しにけり