氷張る

凍りたる池の面に小石投げてみる
氷張る下を緋鯉の群れ泳ぐ
がっちりと我を支えて凍る池

寒夜

ガラス戸を叩く寒夜の風の音
枝の影踏んで山路の寒さかな
寒風の吹くほど空の透き通り

霜

時計塔正午を告げて北は雪
眠る山川も眠りて流れおり
霜をはや影に残して日の光

雪だるま

雪だるまやがて崩るるばかりなり
冬園に立てば寄り来るじょうびたき
播磨灘沖に来ている明日の春

凄雲

北見れば凄雲山を包みおり
雲ひとつ枯山に影を置きにくる
雪やんで沖は再び金色に

春隣

指さして山の名を呼ぶ春隣
ふと目覚め再び夢に冬の朝
冬晴れや竹の青さを見つめおる

湯たんぽ

枯菊の花鮮やかに残りけり
イーゼルに立てしカルトン春隣
とぷとぷと音立て湯たんぽ湯を吐きぬ

冬の梅

頂に吹く風たおやか春近し
見はるかす沖は明るし冬の梅
寒梅の光集めて放ちけり

寒卵

やわらかき色を置きたり寒卵
寒梅の咲きたる空を仰ぎけり
枯色の野山に春の遠からじ

寒の鳶

雪残る梅林に蕾膨らみぬ
さくさくと雪を踏んだり開山堂
寒の鳶静かに川を見つめおり