花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

冬の蝿

2010年11月30日 | Weblog
陽の中にみじろぎもせず冬の蝿
なお赤さ残して紅葉師走に入る
茶の花に小さき蜂の寄りきたる

山茶花

2010年11月29日 | Weblog
山茶花に朝の日差しはまだなくて
陽だまりという暖かき言葉あり
青空へ冬の紅葉のさらに映え

枯蔓

2010年11月28日 | Weblog
(忘年句会)
蝶飛ぶや小春は余生にはあらず
枯蔓を引きて強さに驚きぬ
冬林檎かじり王朝の歌を読む

梅枯る

2010年11月27日 | Weblog
梅枯れて枝のおのおの天を指す
あべまきの幹に寄り添い散紅葉
陽に木の葉降り続くなり山の道

冬菊

2010年11月26日 | Weblog
冬菊の風に乱れて咲き続く
枯蓮に陽の燦々と降り注ぐ
裸木の影踏みし後森へ入る

茶の花

2010年11月25日 | Weblog
茶の花の無数にうつむきかげんなる
本堂へ冬陽が作る軒の影
枯野原北へ真っ直ぐ高速路

枯木

2010年11月24日 | Weblog
いさぎよく枯木となりて立ちにけり
また一枚木の葉散り来て我が前に
紅葉散りいよいよ空の透けている

散紅葉

2010年11月23日 | Weblog
木枯しの静まり森の空透ける
脱ぎ置きしジョギングシューズ散紅葉
降り積もる木の葉を踏んで境内へ

手袋

2010年11月22日 | Weblog
襖絵のごとき遠山冬霞
落葉踏む音を身体で聞いている
手袋の片方のみが残されて