三月尽く

★うすぐもり微風の中に三月尽く
★桜色満ち山ざくら開かんと
★サイクリスト山桜咲く道登る

花

★花開く仰げば空のなお青し
★花の中正午の鐘の鳴り渡る
★山々に花の姿の定まれり

花曇

★花曇割る半熟のゆで卵
★宅配のトラック止まる花の下
★護摩堂にうすむらさきの馬酔木咲く

★紅白をとりどり散らせ梅咲きぬ

つらつら椿

★重きほどつらつら椿咲きにけり
★芽吹く山芽吹く香りに満ちており
★静けさを破りてひとつ落椿

青ぬた

★まだ少し欠けているかな朧月
★青ぬたや雨音のせぬ雨つづく
★膝掛けで豚骨ラーメン花の冷え

山桜

★山桜咲く彼方より新幹線
★咲き初めし三葉つつじの小さきが
★花咲ける下に老犬寝そべりぬ

初燕

★谷の風梅の香りを運び来る
★はくれんの開きし先に昼の月
★理髪屋の軒先かすめ初燕

★紅梅の最も紅き一枝かな

初桜

★初桜いつもの嶺のいつもの木

＜妙見富士登山二句＞
★円墳の連なる彼方春の山
★満天星の花咲く道を頂へ

花前

★東京はすでに花見と聞く彼岸
★梅が香と日差し楽しむ木のベンチ
★花前の枝を仰げる午前午後

彼岸

★梅の咲く坂を上りて墓参り
★鶯の声を間近に墓参り
★お彼岸や墓参の後のきな粉餅

★白梅の香に触れるまで近く寄る