花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

爽籟

2009年09月30日 | Weblog
<岡山・法然上人誕生寺>
銀杏(ぎんなん)を見上げつつ入る誕生寺
爽籟へいま旅立ちの法然像
歌碑抱いてりんご椿の実の赤し

蜻蛉

2009年09月29日 | Weblog
頂を風ゆく名残の蝉の声
前にしか飛ばぬさだめの蜻蛉飛ぶ
風少し身に入む峠を越えにけり

鶏頭

2009年09月28日 | Weblog
オリーブの石鹸香る秋の宵
鶏頭の陽を織り込んでたっぷりと
麓よりチャペルの鐘や秋高し

柴栗

2009年09月26日 | Weblog
山寺へ向かう青空曼珠沙華
陽を透かし乱舞するなり秋の蝶
柴栗のつややかなるが転がりぬ

2009年09月25日 | Weblog
萩を見てのち山路へと入りにけり
澄む秋へ流れるフルート練習曲
秋の昼頂の蝶滑空す

新米

2009年09月24日 | Weblog
新米をずっしり下げて叔父きたる
さくさくと静かに昼の梨を食ぶ
ことごとに刈田となりししじまかな

秋の雲

2009年09月22日 | Weblog
秋空の深さは雲の重なりに
主塔より離れ行くかな秋の雲
この夜も静かに木の実降りやまず

白秋

2009年09月21日 | Weblog
高階に風入る都会の爽やかに
幻のごとく飛び立つ秋の蝶
白秋の風に輝く川面かな