行く年

行く年の風竹林を過ぎゆけり
中空は雲の住処よ大晦日
行く年を送りつ山を巡りけり

年惜しむ

寄せ鍋を帰省の人と囲みおり
夢希望すでに兆して年惜しむ
若き僧静かに注連を飾りけり

歳暮

洗車機のブラシ回転年深し
年の瀬の喧騒はるか頂に
一升瓶歳暮に提げて訪ねたり

餅搗

餅搗の始まる山の古刹かな
年の瀬の播磨灘ゆく船の数
消防車かんかんかんと夜を行く

歳末

歳末や庭木手入れの鋏音
頂の枯れの中なる三角点
ひともじを刻んで載せし温奴

初雪

初雪や開山堂の屋根の反り
倒木に初雪うっすら積もりけり
雪ぐれの北の山見る日差し中

霜くずれ

霜くずれ残りし鹿の足の跡
境内に静かな日差し実南天
ヘルメット脱げば冷たき耳のあり

枯山

頂の風が揺らせしそよごの実
枯山を眼下に鳶の滑空す
箒の目はっきり冬の石段に

賀状書く

より良きこと思いつ賀状書きにけり
青鷺のたたずむ池の枯はちす
土手の草皆枯れ川は海に向く

雪催い

尾根歩く冬の峰々一望に
ふかふかと落葉積む道下りゆく
北を見る但馬の空は雪催い