朝顔

朝顔を夜来の雨が濡らしおり
秋口の小さき鋏で糸を切る
細やかな雨が秋めく海峡に

廃屋を過ぎて夏水仙に会う

蜩

蜩や山城跡に佇めば
きゅっと音させ秋茄子の泥を拭く
新涼や竹に囲まれ湯に入りぬ

地の熱をまだ身に帯びし真桑瓜

法師蝉

曇り空残る暑さの和らぎぬ
秋の夜に灯して読める昆虫記
法師蝉鳴くを聞きつつ描きおり

初秋やはちすのなかを覗き込む

秋暑し

里山に夏水仙をたずねゆく
秋暑し山路に蝉の声限り
開けている窓より聞こゆ虫の声

夏野菜とりどり揃え盆棚に

新たに涼し

優嵐スケッチブック


尾根渡る風の新たに涼しかり
秋の蝉我が傍らを抜けてゆく
天空へ駆け上りたり秋の蝶

盂蘭盆会月下美人の咲きそろう

茄子の馬

流れゆくときを待ちいて茄子の馬
送り盆風抜けてゆく午後の部屋
盆過ぎの草木の色のやや変わる

入道雲残暑の空へ湧き上がる

鶏頭

鶏頭の燃え立つ色を仏前に
暁のうつつに聞けり秋の雷
日がさせばまた高らかに秋の蝉

空広しひまわり畑の広がりに

盆花

稲穂垂れ初めにし道を墓参り
盆花を手に坂道を登りけり
墓詣おさななじみがすれ違う

新しき日の始まりに朝顔咲く

盂蘭盆句会

蛾の去りし繭の残され秋はじめ
盂蘭盆や池に花托の立ち並ぶ
初秋の空は飛行機雲を載せ

盂蘭盆

盂蘭盆の月の光が畳にさす
よく晴れて遠くで鳥脅しの光る
僧ひとり芙蓉咲かせし門を入る

今朝開くうすくれないの蓮の花