花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

荒梅雨

2012年06月19日 | Weblog
荒梅雨の音に目覚めし午前五時
花菖蒲つぼみが好きなとんぼ来る
濁流を河原いっぱい梅雨台風

野の風を連れ笹百合の活けられて
紫陽花の色の日ごとに深まりぬ

紫陽花

2012年06月18日 | Weblog
木苺の赤さに足を止めにけり
三日ぶり紫陽花どっと色づきぬ
夏草の刈られし後を風通る

赤々と皐月躑躅の燃えており
田の端にかたまり揺れて花菖蒲

梅雨の川

2012年06月17日 | Weblog
滔々と南へ流れ梅雨の川
晴れてくる空を映せし植田かな
梅雨晴れの波輝きて須磨の海

花びらの基部は黄色に花菖蒲
雨の色取り混ぜて咲く七変化

すててこ

2012年06月16日 | Weblog
午後よりは梅雨の空気の重さ増す
さみだれの午後に開きし方丈記
色柄を得しすててこの様変わり

刺ゆえに薔薇の花びらのやさし
南天や小さき花をつけにけり

子燕

2012年06月15日 | Weblog
明易し薄明かりさす午前四時
河骨のつややかにあり陽を返し
子燕の羽ばたきながら餌ねだる

金糸梅明るし降れども曇れども
むらさきの濃きも薄きも花菖蒲

杜鵑花

2012年06月14日 | Weblog
輝ける青嶺間近く仰ぐ朝
緑陰に挨拶交わし歩きけり
石垣を這いし杜鵑花の影を成す

六月の庫裏の前にはリピア咲く
精悍なおももち見せて杜若

しもつけ

2012年06月13日 | Weblog
降りてやみ降りてやみしてしもつけに
あとはもうこぼれるばかり小判草
雨あがり風少し出て花南天

アイスランドポピー故郷は白夜なり
咲き初めて青さしみいる花菖蒲

鴨足草

2012年06月12日 | Weblog
産卵の蛙待ち伏せ青葉中
アパートがまたひとつ建ち鴨足草
青空に誘われてゆく今年竹

離れても寄りても薔薇は薔薇の色
吹く風が鳴らしてゆくか釣鐘草

玉葱

2012年06月11日 | Weblog
優嵐スケッチブック


田の面をかすめ反転夏燕
玉葱の引かれては畝に並べられ
紫陽花をたっぷり咲かせ角の家

立葵日差しは極に近きころ
澄む青をたたえてデルフィニウム咲く

植田

2012年06月10日 | Weblog
雲の峰生まれし山の彼方かな
植田あり行き交う車を映しつつ
若竹の肌に残れるやわらかさ

里の田は苗を迎える谷空木
近々と皐月躑躅に寄りてみる