宮澤賢治の里より

下根子桜時代の真実の宮澤賢治を知りたくて、賢治の周辺を彷徨う。

〈〔一〇八八 もうはたらくな〕〉

2016年10月03日 | 『春と修羅 第三集』
一〇八八  〔もうはたらくな〕      一九二七、八、二〇、
   もうはたらくな
   レーキを投げろ
   この半月の曇天と
   今朝のはげしい雷雨のために
   おれが肥料を設計し
   責任のあるみんなの稲が
   次から次と倒れたのだ
   稲が次々倒れたのだ
   働くことの卑怯なときが
   工場ばかりにあるのでない
   ことにむちゃくちゃはたらいて
   不安をまぎらかさうとする、
   卑しいことだ
     ……けれどもあゝまたあたらしく
        西には黒い死の群像が湧きあがる
        春にはそれは、
        恋愛自身とさへも云ひ
        考へられてゐたではないか……
   さあ一ぺん帰って
   測候所へ電話をかけ
   すっかりぬれる支度をし
   頭を堅く縄って出て
   青ざめてこわばったたくさんの顔に
   一人づつぶっつかって
   火のついたやうにはげまして行け
   どんな手段を用ひても
   辨償すると答へてあるけ
             <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)より>
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《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。


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