宮澤賢治の里より

下根子桜時代の真実の宮澤賢治を知りたくて、賢治の周辺を彷徨う。

〈台地〉

2016年10月03日 | 『春と修羅 第三集』
台地   一九二八、四、十二、
   日が白かったあひだ、
   赤渋を載せたり草の生えたりした、
   一枚一枚の田をわたり
   まがりくねった畔から水路、
   沖積の低みをめぐりあるいて、
   声もかれ眼もぼうとして
   いまこの台地にのぼってくれば
   紺青の山脈は遠く
   松の梢は夕陽にゆらぐ
   あゝ排水や鉄のゲル
   地形日照酸性度
   立地因子は青ざめて
   つかれのなかに乱れて消え
   しづかにわたくしのうしろを来る
   今日の二人の先達は
   この国の古い神々の
   その二はしらのすがたをつくる
   今日は日のなかでしばし高雅の神であり
   あしたは青い山羊となり
   あるとき歪んだ修羅となる
   しかもいま
   松は風に鳴り、
   その針は陽にそよぐとき
   その十字路のわかれの場所で
   衷心この人を礼拝する
   何がそのことをさまたげやうか
             <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)より>
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《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。


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