最近、自宅に帰るたびに旅行のパンフレットが増えているのに、田口はうんざりし始めていた。速水が持ち帰っているのは明白だが、あちこちに置きっぱなしにするのは止めて欲しい。
それとも、何か意図があるのかと疑ってしまう。
「ばらばら置くなよ」
田口は珍しく家にいる速水に文句を言う。
「んー。まとめとくほどの物じゃないだろう?」
例のごとく、速水はいい加減だった。
「けど、統一感がない。パンフレットはパンフレットでまとめとけよ」
「んー」
速水の返事はやっぱりいい加減。田口はちらっと、ごろごろしている速水を見ると、病棟から貰ってきたお菓子の空箱を手にした。
「パンフレットは全部この中に入れろよ。けど、同じのばっかり貰ってくるな」
「同じじゃない。微妙に違う」
「あっ、そう」
田口には興味がない領域なので、微妙に違おうが違わなくても気にならない。どうせ、速水の現実逃避だろう。ぐらいにしか、思っていなかった。
「その違いが大事なんだからな」
「はいはい」
適当な返事をする田口。
そんな田口を横目に、速水は正月に日本脱出を企てる。仕事は別に嫌じゃないが、寒さが嫌なので南国に行きたくなる。毎年、リゾートのパンフレットを集めるのが、この時期の行事になりつつあるので、今年ぐらいは実現したいと思っている。そのために、年末年始に掛けて、休みをどう取るか日夜思案中だったりする。
「行灯。行きたいところがあれば、リクエストを受けるぞ」
「ない。って言うか。年末年始は寝正月と決めている」
「そんなもの、どこでだってできるだろうが…」
「家以外でする必要性を感じない」
「新年だぞ。新たな気持ちで迎えたいだろう?」
「別に…。生きていれば、誰にでも来るから、特別な思いはないけどな」
不毛な会話が続く。
「まあ。今はそうしておくか」
速水はいったん、この終わりがない会話を無理矢理終わらせると、その場から逃げることにした。あまりしつこく田口に絡むと、あとが怖いのを知っているので。
それとも、何か意図があるのかと疑ってしまう。
「ばらばら置くなよ」
田口は珍しく家にいる速水に文句を言う。
「んー。まとめとくほどの物じゃないだろう?」
例のごとく、速水はいい加減だった。
「けど、統一感がない。パンフレットはパンフレットでまとめとけよ」
「んー」
速水の返事はやっぱりいい加減。田口はちらっと、ごろごろしている速水を見ると、病棟から貰ってきたお菓子の空箱を手にした。
「パンフレットは全部この中に入れろよ。けど、同じのばっかり貰ってくるな」
「同じじゃない。微妙に違う」
「あっ、そう」
田口には興味がない領域なので、微妙に違おうが違わなくても気にならない。どうせ、速水の現実逃避だろう。ぐらいにしか、思っていなかった。
「その違いが大事なんだからな」
「はいはい」
適当な返事をする田口。
そんな田口を横目に、速水は正月に日本脱出を企てる。仕事は別に嫌じゃないが、寒さが嫌なので南国に行きたくなる。毎年、リゾートのパンフレットを集めるのが、この時期の行事になりつつあるので、今年ぐらいは実現したいと思っている。そのために、年末年始に掛けて、休みをどう取るか日夜思案中だったりする。
「行灯。行きたいところがあれば、リクエストを受けるぞ」
「ない。って言うか。年末年始は寝正月と決めている」
「そんなもの、どこでだってできるだろうが…」
「家以外でする必要性を感じない」
「新年だぞ。新たな気持ちで迎えたいだろう?」
「別に…。生きていれば、誰にでも来るから、特別な思いはないけどな」
不毛な会話が続く。
「まあ。今はそうしておくか」
速水はいったん、この終わりがない会話を無理矢理終わらせると、その場から逃げることにした。あまりしつこく田口に絡むと、あとが怖いのを知っているので。