快晴に恵まれた休日のこと、家族で小樽にドライブした。
息子が小学校の6年生の頃だったと思う。
元々自動車好きの息子は、ドライブ中は大抵路上の自動車を眺めている。現在ではあまり見かけないような、珍しい車種を見つけては、楽しんでいるようだった。
札幌を出発して暫くしてからのことだった。
息子が「あの黒い車、S先生の車じゃないかなぁ」とポツリと呟いた。
S先生とは、息子の担任の男性の先生だ。
息子は学校の先生の車の車種も、車好きゆえ記憶していたのだ。
息子が見ている方向を見ると、確かに黒い車が止まっている。私達の車が丁度通り過ぎたところだったので、遠ざかりながら振り向いて見ていると、運転席に乗り込んでいく、あの長身の姿はまさしくS先生。そして、助手席には何と副担任の女の先生が！
えーっ、デート？こりゃ、大スクープ。学校の誰もが知らない事実を知ってしまった。
息子はそんな大スクープにもかかわらず、終始一貫してクールだったが、私は一人で、大はしゃぎ。
学校行事でよく一緒に打ち合わせをしている姿は見かけていたけれど、ここまで進展していたとは。
これは、誰かに言いたいけれど、でも、ここだけの話にしなければいけない。
言いたい気持ちをぐっとこらえ、学校のお母さん達には言わなかった。
楽しい家族とのドライブ中に、担任の先生のシークレットロマンスを知ってしまったことで、更に気分上々。他人の恋愛に私まで何故かウキウキしてしまった。
家族で小樽で楽しく過ごし、夕方、小樽からの帰り道、なんと、再び息子が先生の車を発見。
我が家の車は先生の車の斜め後方を走っていた。
さり気なく運転席を見てみると、小樽で二人の距離感はぐっと縮まったらしく、副担任の先生は運転するS先生の肩に頭をもたれて、遠目に見てもアッツアツ！
それを見て、再び一人大盛りあがりの私を横目に、息子は相変わらずクールだった。
行きだけでなく、帰りまでも。見出しをつけるなら「担任S先生熱愛発覚！」
息子史上最大のスクープだった。
ちなみにS先生と副担任の先生は、その後めでたくゴールインし、私もホッとした。
