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北黄金貝塚への旅

写真は北海道新聞2015年8月23日の日曜版の一面。写っているのは復元された貝塚。まだ世界遺産登録前だった伊達市の北黄金貝塚の紹介記事だ。

このインパクトのある紹介写真をひと目見て、いつかここへ行ってみたいと思った。
それで日曜版を取っておいたのだが、いつものことで、様々なメモや別の資料が上に積み重なり、書類の山の下じきになり、忘れていった。

その旅行が実現したのは3年ほど後の2018年5月4日ゴールデンウイーク中の家族旅行だ。

久々の片付けで日曜版を見つけて、この機会に行ってみたいと提案したのだった。

北黄金貝塚までの道のりで、他にも面白い所は無いかと調べると、大滝村(現在は伊達市大滝区)の「三階滝」が出てきたが、この滝は何度も見たことがあった。
もう一つ、魅力的なネーミングの滝が出てきた。
「大滝ナイアガラの滝」
ナイアガラ!なんと、素敵な。早速、旅の行程に加えた。

大滝ナイアガラの滝は当時、大滝中学校の直ぐそばにあった。
[残念なことに、大滝中学校は2019年に閉校し、大滝小学校と統合し大滝徳舜暼学校となっている。
少子化によるものでやむを得ない結果だが、校舎の場所も滝から離れてしまったようだ。]

滝までの散策路は新しい木のチップが敷き詰められ、足元に優しく歩き心地が良かった。
川の流れが響き、空気が澄んで清々しい。あたりに人はおらず、私達家族だけでこの景色を独占できる贅沢を感じた。

ナイアガラの滝。それは、私の予想を遥かに超えた、絶景だった。



5月という時期も良かったのかもしれない。雪解け水が多いので、迫力ある滝を見ることができた。


息子が滝を接写している姿が写り込んでいる。

いつまで眺めても飽きない風景。自分がこんなに“滝好き”だとは自覚が無かった。一日中でも過ごすことが出来るほどに。

しかし、本来の目的地は別にある。後ろ髪を引かれながら、滝を後にした。

北黄金貝塚は伊達市の「北黄金貝塚公園」内にある。
公園は標高10~20メートルの丘陵地に位置し、広大な敷地は風が渡り、気持ちの良い場所だ。天気にも恵まれた。
お目当ての貝塚は、小高い緑の丘の一面に、白色に広がっているので、遠くからでも直ぐにわかった。

見出し画像の貝塚に横たわって写っているのは、伊達市噴火湾文化研究所学芸員(当時)の青野友哉氏。
日曜版から引用すると氏は貝塚について次のように説明している。
「現代人の感覚では、貝塚はごみ捨て場。しかし縄文人にとって、貝も人間も等しく生命を持ち、それらの再生を願い、あの世に送る神聖な場だったのです」
確かに貝塚は丘陵の一番高い位置にある。天上に近い場所。なるほど。

真っ先に貝塚を目指し登っていく。
登りつめた一面に帆立貝のおびただしい量の貝殻。アクセントに鹿の角。
新聞の写真で見たのと同じ景色が広がる。想像以上の感動だった。

貝塚で何枚も写真を取ってもらったあと、ゆるやかな丘陵を下ると、縄文時代の住居も復元されており、早速簡素な住居へ入ってみる。

(北海道新聞日曜版掲載写真より)
中には石で囲った簡素な炉が中央にあり、かたわらに雰囲気たっぷりの鹿の毛皮も置いてある。
イベントか何かで炉に火を入れたのか、黒い燃えカスと独特の匂いが、狭い住居内に立ち込めていた。

縄文時代の雰囲気を味わっていると、息子がふざけて踊りだす。
それは、小学生の時にアイヌ学習で習った「バッタの踊り」。肘を曲げて後ろへ引き、その肘の形がバッタの足に似ているからだろう。腕を曲げ伸ばし、リズムを取って歩き出す。

ここは縄文時代の住居。
「それ、アイヌだ」と私が突っ込み、息子の踊りも愉快だったので、皆で爆笑した。
それがたまたま、娘の携帯電話に録音されていて、帰宅後もまた笑いの元となった。

縄文住居からゆっくり下り、貝塚情報センターへ向かう。

コンパクトな建物ながら、大変見応えのある内容となっている。
入ってすぐに縄文時代の地層と墓の構造が展示されている。

(北海道新聞日曜版掲載写真より)
土器の展示はもちろんのこと、縄文人のグルメぶりを示す、縄文料理の再現サンプル等、広い丘陵を歩いた後にちょうどよい量の見学内容であった。

ナイアガラの滝を見て、広大な貝塚から始まり、縄文人の生活を妄想を加えながら家族と共に体感した一日。
とても楽しい思い出だ。

北黄金貝塚は、2021年「北海道・北東北の縄文遺跡群」として、世界遺産に登録された。



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