店を出て、娘が予約してくれたホテル、イビススタイルズ東京ベイへ向かって歩く。
15分ほどで到着したホテルの部屋の内装は可愛らしく、感じの良いホテルだった。
翌日の朝食の予約も娘がしてくれて、いたれりつくせり。
明日に備えベッドに入ったが、途中何度も目が覚めた。
凡庸な日常から飛び出した私の五感は、非日常の中で興奮し続けていたようだ。
翌日、6月3日金曜日。
娘から、事前に天気予報は雨と聞いていたが、ありがたいことに晴れていた。
朝食のバイキングを軽めに済ませ、ディズニーシーへ向かう午前8時発のバスに、チェックアウトと同時に荷物を抱えて乗り込んだ。
30分ほどでディズニーシーに到着。荷物をロッカーに預け、いざ出陣!
ゲート周辺は既におびただしい人の列。
足元にスズメがチョロつく。
市街地のスズメと比較すると、まるで警戒心がない。
お目当ては、誰かが落としたポップコーン。人の足の合間を縫って、スズメの小さなクチバシには有り余るほどのポップコーンを拾って飛び去って行った。
そんな光景は、ディズニーシーのいたる所で見られた。
日差しは強かった。持参していた雨傘は日傘として重宝した。
施設内は人工的に作られたものだが、植物が多いせいか、見たことの無い野鳥があちこちに見受けられ、思わず目を奪われる。
ものすごく尾羽根の長い小鳥が飛んでいたが、オナガだろうか。
そんな調子で、アトラクションまでの道のりを歩きながら眺める。
最初のアトラクションは、「インディー・ジョーンズ・アドベンチャー クリスタルスカルの魔宮」。
私の大好物ジェットコースター。最後に乗ったのは多分30年以上前だ。
家族の中でジェットコースター好きは私しかいない。本来娘は苦手なのだが、付き合ってくれた。
ジェットコースターとしては、レールの落差もあまり無く、悲鳴を上げる準備をしていたのだが、不発に終わった。
洞窟の中という設定からか、暗闇が多いのが私にとっては残念だった。暗く無い方が断然面白いのに。
ディズニーランドの「スペース・マウンテン」を大昔に乗ったのだが、やはりレールの落差がゆるく、暗闇の中を走るタイプで、人気のアトラクションのようだが私には好きになれなかった。薄暗がりの中で微かに見える鉄骨が、スリルを味わうよりも危険を感じ不安だった。今はどうか知らないが、出口あたりでシューシューと風を吹き付けられるのもとても嫌だった思い出がある。
下車した後、素直に娘に感想を漏らしてしまった。
娘は私をもてなそうと色々と気を使ってくれているのに、ガッカリさせてしまったと思う。悪かったなぁ。
続いて、「レイジングスピリッツ」の前を通りかかり、360度回転のループコースターということで、今度こそはと期待して私一人でチャレンジした。
息子から事前に「ジェットコースターに乗るときは、頭を後ろに付けてね」と言われていたことを思い出し、スタートに備えた。
インディー・ジョーンズよりは落差があったものの、やはり悲鳴は不発。叫びたいのにー。
数々の人生の修羅場をかいくぐってきたオバサンは、ジェットコースター位じゃ悲鳴も出なくなってしまったみたい。
気を取り直して二人で「ジャスミンのフライングカーペット」を楽しむ。
さらに、緩やかな「フランダーのフライングフィッシュコースター」を娘と一緒に乗る。ジェットコースターにスリルを求めずに、娘とライドを楽しむ方向にカジをきることにした。二人で乗ると楽しい。悲鳴より笑顔。
平日とあって、待ち時間はどこも大体1時間以内。
土日だと300分、400分が当たり前だと娘が言っていた。5時間以上!。勤め人の多くが土日が休みだから仕方がないのもあるけれど、連れてこられる子供たちが気の毒だなあ。
アトラクションの待ち時間はディズニーのアプリに随時表示されている。娘はアプリを駆使して、待ち時間をチェックし、効率よくアトラクションに案内してくれた。それで、人気のアトラクションも、そう待たずにどんどん体験することができたのだった。
ジェットコースター系では最大の人気の「センター・オブ・ジ・アース」。
ジュール・ベルヌのSF小説「地底旅行」がアトラクションのテーマだ。
1959年公開の映画「地底探検」は、大昔テレビ放映されたのを父と一緒に観た。小学生だった私は、その面白さに大興奮したのを覚えている。
それで、子供達にも見せたいと、ブレンダン・フレイザー主演でリメイクされた映画「センター・オブ・ジ・アース」を2008年に観に行ったのだ。
私の中では、やっぱり1959年公開のオリジナル版が最高だ。
アトラクションのセンター・オブ・ジ・アースは、娘は到底無理なので一人で臨んだ。ラッキーな事に一番前。内部の装飾がオリジナル版の映画を彷彿とさせ、うれしい。
ゆっくりと地底内部を見学したあと、最後の最後に加速上昇し、落ちるレールの落差も申し分無く楽しかった。
落下する寸前にシーを一望出来たかと娘に聞かれ、気づかなかったので後でもう一度乗った。
2度目に地底走行車が頂点に達した時に、シーを一望してからの落下は恐怖感が増して最高だった。
途中、雨がぱらついたりもしたが、傘を持参していたので問題なかった。
「ニモ&フレンズ・シーライダー」を楽しんだ後、エレクトリックレールウェイを利用して「ポートディスカバリー」と「アメリカンウォーターフロント」を往来した。
「アクアトピア」に乗り、遂に娘と息子が最高だとお勧めする、あのアトラクションを体験することになる。
続く