ウォーキングのため、家から出て間もなくの事。いつも最初に渡る細い道路上のことだった。
この道路は2台の車がすれ違うのがやっとの路幅。
この周辺は、昔かなり広大なりんご園だったそうで、恐らくりんごを運ぶ馬車が行き交っていた、その馬車道がそのまま道路になった様な道だ。
歩道もとても狭く、歩道上に電柱があると人ひとりがやっと通ることの出来るような、そんな道。
こちらからあちらへは、普通なら6~7歩で渡りきることが出来る、渡り慣れた道路だ。
その日もいつも通り、右左右と目視確認し、車の影が全く見えないので、余裕で渡れる状況だった。道路へ足を踏み出し、3、4歩進み横切ろうとしたら、目の前に突然真っ白な乗用車が前進してきてびっくりした。
その車は、狭い歩道に面したアパートの前の駐車場からダイレクトに歩道を越えて出てきたのだった。偶然にも、私が歩道に足を踏み出したタイミングで、反対側から同じ様に道路に出てきたようだ。
私と車体の距離は30センチ程に接近していたが、私はほぼ道路の中央に出てきていたし、当然車が一時的に停車してくれるものと思っていた。
しかし、車は止まることなく普通に右ハンドルを切り、ジリジリと動く。最短コースで残りの道を渡りきるには、迫りくる車を早足に避けながら渡るしか選択肢がなかった。最後は接触寸前で、歩道へピョンと飛び上がる感じで渡りきった。
一体どんな神経の持ち主なのか。振り返って運転手の顔を睨みつけた。向こうもこちらを一瞬振り返り、直ぐに車を加速させて行ってしまった。
「無礼者!」久しぶりに、怒りを感じた。その嫌な気分は、ウォーキング中もずっと続いた。
日頃大抵の事には怒りを感じないタイプの私だが、今回は立腹。
夕方になって、夫にこの出来事を話した。
車を運転する夫の立場から、この出来事をジャッジして欲しくて、「私が悪いのかな」と聞いてみた。
きっと私は無意識に「それは相手が悪いよね」という夫の言葉を期待したのだと思う。
夫から明確な答えは得られなかった。
その後も頭の中で、何度もあの時の状況を検証してみた。
相手が悪い。そう考えていたが、もしかしたら私が悪いのか。そうも考えてみた。
自分はどのように行動していたか。
左右をみて、車が来ないことを十分確認した上で、前に出た。安心しきって道路へ出たのだ。
もしかしたら乗用車の人も、同じ事を同じ様にして、出てきたのかも知れない。
同じタイミングでほぼ対面する位置関係から、お互い進み出てきた。どちらもきっと前に注意を払っていなかったのだ。それでお互いの前方が、結果的に盲点となって生じたケースだったのではないか。
冷静になって見ると、今回の原因についてそんな状況を仮定することが出来た。
きっと、白い乗用車の運転をしていた方は、悪い人ではなかったのだろう。無礼者と心で叫んで失礼した。
今回は、事故を回避出来たけれど、私がもっと年を取っていたら、回避不能だったかも知れない。
事故はこんなふうに、予期せぬ悪い偶然が重なった時に起こるのだと改めて感じた出来事だった。
本来は、あっという間に渡れるような細い道路だが、今後は侮らずに左右を確認したあと、前方も注意しなければいけないとつくづく思ったのだった。
昨日の危険な出来事は、自分にとって今後の事故を防ぐための良い教訓であったと思う。
皆さんにも起きうることなので、警鐘になればとお伝えした。