仕事が終わった帰り道、人間関係から心身ともに疲れて重い足取りで坂道を下る。
途中、大学のグラウンドにさしかかった。
歩道より一段低くなったグラウンドを、フェンス越しに何気なくのぞいたら、草むらにキツネが横たわっていた。
ここは、グラウンドの端っこ。雑木林に繋がっている。
最初見つけた時は、死んでいるのかと思って「はっ」とした。よく見ようと近づくと、キツネは私の足音に気づいて頭を起こした。警戒して私の顔を探るように見つめた。
「ああ、生きていた」と私はホッとした。
直ぐにリュックのポケットを探り、スマホを取り出した。スマホのカメラを構えた時には、キツネは私の存在を無視するように再び横たわり、まどろみの中へ戻って行った。
ムシムシとした暑い日だった。
草むらの中はヒンヤリと気持ち良いのだろうか。
無防備で涼し気なキツネの眠る姿をカメラに収めながら、キツネの幸福を思った。
キツネは自由だ。どこに居ようと、どこで寝ようと。今、私の目に見えているキツネは幸福だ。面倒な他者とのしがらみも無い。
私もキツネと一緒に横たわりたくなった。
歳を取るごとに自然の中へ帰りたくなる。私の来世はきっと野生の生き物だろうなあと思う。何となく今からそう感じている。
野生のキツネに出会い、疲れた心もちょっぴり癒やされた。
家路の途中の工事現場。ここにも心癒されるバリケードがあった。
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今日はキツネ三昧だ。