外反母趾がひどくなってきた。
私の母はお洒落で、若い頃によくハイヒールを履いたようで、そのせいか酷い外反母趾だ。
私は、ハイヒールなんてほぼほぼ履かない人生を送って来たのに、外反母趾だ。
二人に共通するのは扁平足。ネットでちらっと調べたら、特に“よこ扁平足”が外反母趾になるみたい。
何とか自分で矯正でもできないかとネットを検索していた時に、You Tubeでリフレクソロジーの動画を目にした。見ていたら、何だか自分でも出来そうな気がして、本を買ってみた。
フジタマキさんの書いた「リフレクソロジーパーフェクトガイド」。
リフレクソロジーとは「反射学」と訳されるそうだ。
足の裏にある身体のそれぞれの器官に対応する「反射区」という「ツボ」のようなものに刺激を与え、エネルギーラインの流れを活性化し、心身を健康な状態へ導いていくという施術法。
“ツボの様な”と表現したけれど、ツボは点で捉えるのに対し、リフレクソロジーの反射区は面として捉えるそうだ。足だけでなく、手や顔の施術もある。
負担のかかっている器官に対応する反射区には、クリスタルと呼ばれる凝りが出来るそうだ。これをほぐし血行を促進させ新陳代謝を促す。その結果、体内の老廃物が排出され、自然治癒力を高めるということだ。
実際に、本を見ながら自分の足裏の硬い部分を「これがクリスタルだろうか」と思いながら揉みほぐしてみた。
足の裏など日ごろ見向きもしない場所だけに、手であちこち触っていると、何だか足の裏がかわいく思えてくる。
本には写真と共に丁寧に施術法が解説してあるのだが、やはり一度体験してみなければよくわからない。近所に女性がやっている小さな整体のお店があることを思い出し、体験しに行ってみようと思った。
仕事が休みの日をねらって電話で予約してみると、丁度自分の誕生日の日に空きがあった。奇しくも自分への誕生プレゼントになった。
30分2,450円のコース。
当日、少し緊張しながらお店に行った。
先ず、足浴をする為に黒いショートパンツにはき替えて足浴器に足を浸す。底の方からプクプクと泡が出て、足裏を刺激する。心地良い。時間にして5分から10分位だったろうか。
足浴が終わり、寝台へ移動。マッサージオイルを足裏から足首まで塗布して、はじまりはじまり~。
先ずは施術の際の好みの強弱を聞かれたが、初めてなので最弱で施術してもらう事にした。最弱とはいえ、それでもかなりの力だ。これで強だったら、悲鳴を上げているところだった。
整体師さんのリフレクソロジーは丁寧で、施術されながら本に書いてあったあれこれを思い出しつつ、ちょっと理解したような気になった。
それにしても、施術されることの心地良さ。癖になりそうだ。これまで過酷な思いばかりさせてきた足裏が、たいそう喜んでいる。あー、気持ちいい。
たっぷりと丁寧に施術を受け、最後にマッサージオイルを拭き取り、良い香りのオイルで仕上げて終了。
着替えた後案内されて、ソファーに腰掛けるとお茶が出て来た。緑茶ではない香ばしいお茶だった。
お茶をいただきながら、整体師さんが今回の施術で分かった事を伝えてくださった。
先ず、首の部分に不調ありと。驚いた。足の裏を触っただけでそんな事が分かるなんて!確かに最近首が痛んだり、違和感があるのは事実だった。
思わず「良くわかりましたね。すごいです。」と口をついて出てしまった。
胃が少し弱っている事と、タンパク質不足であることも伝えられた。
何れも、実際感じていた事だった。
足の裏だけでそんな事までわかるなんて、すご過ぎる。リフレクソロジーの奥深さを痛感した。
整体師さんの人柄も好感が持てた。年齢も、多分私とそんなに変わらないし、女性なので安心感もありとてもリラックス出来た。
支払いを終え、お店を出る頃には軽く1時間が経過していた。
初対面の施術者さんに我が足を委ねた。全くの他人なのに、何だかその手の温もりが、親と接したような懐かしい気分に感じられ、幸福な時間だったなぁと振り返る。
リフレクソロジーは身体にも有効だが、私にとっては心にも良く効いた。心底癒やされた。
自分でリフレクソロジーが出来るようになりたいと、その為に体験しに行ったのだが、やっぱり施術「する」側より、「される」側が良いなーと、当初の目的から逸脱する結果となってしまった。
ああ、幸福をもらいに、また行きたいなあ。