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ポジティブな私 ポジ人

遊歩道散策

息子の携帯電話は、かれこれ契約してから5年が経過したらしい。

充電の差込口も接触が悪いのか、中々充電されない状態。ご機嫌をうかがうようにコードをクネクネさせて通電のポジションをさぐり、ようやく充電に至ると言った具合だ。
だから充電中の携帯に、ちょっとでも触れたら大騒ぎである。

こんな具合なので、携帯がいつ事切れてもおかしくない。節約魂は買うが、ちょっと限界を超えている。
近々旅行の予定もあるというので、購入時期を迷う息子に、正月休みの間に買うべきだ、とお尻を叩いた。

元旦翌日に、早速携帯ショップへ買いに行くというので、同じ方向のスーパーのお菓子屋さんへ行こうと思っていた私は、途中まで同行する事にした。

午後に連れ立って家を出た。
久しぶりに並んで歩く息子の足取りは、力強く早かった。

歩く事に於いては少し自信がある私だが、息子の歩調に合わせるのは、かなり頑張らなければならなかった。新年から老いを感じた。

その日は気温が高かったので、道路のきわには溶けた雪が、みぞれ状にたまっていた。
歩道の白い雪の上には、車が飛ばした泥雪が薄茶色の飛沫を描いていた。白い雪が薄茶色に盛大に染まっている場所は、ドロをかぶる危険地帯だ。

私は気をつけながら歩いていたのだが、「泥が跳ねるから」と、息子が盾になるような形で私をエスコートしてくれた。まるで私のナイト(騎士)じゃん。一瞬プリンセスになった気がした。

こんなさり気ない気遣いが、息子とはいえ、妙に嬉しく心に染みた。大切にされるってうれしい事だ。

やがて、小学校方面への信号を渡り、かつての通学路である遊歩道へと入った。

息子にとっては18年ぶりの通学路である。
歩きながら、「これ(建物)も無かった」「あれも無かった」と様変わりした周囲の景色に、感嘆の声を上げていた。「周りが小さく見える」とも。
そりゃ、背が伸びたからね。
「目線が高くなったせいか」と息子は独りごちて納得していた。

小さな息子と連れ立って歩いた思い出の道。今ではすっかり身長も追い抜かれた。
周囲の建物は変わっていても、雪に覆われた人気のない道自体は、冬枯れの木を含めて変わらない。私の心も過去へと遡り、若干若返る。

あじさい公園を通り抜け、大型スーパーへと続く道へ入る。精進川沿いの細い道は小学校の裏へと続く。
子どもたちの育てたミニトマトやアサガオの鉢を受け取りに、よく来た場所。こんもりと雪に覆われた小学校の裏手を左に眺めながら歩く。嗚呼ノスタルジー。

不意に木をつつく音がした。

息子が目ざとくアカゲラを見つけた。
直ぐ側の裸木の梢をつついていた。木の葉が無いからよく見える。
つついている周辺の表皮が広範囲に白く剥がされている。アカゲラの仕業。餌になる虫がいないのか、アカゲラは心無しか痩せているようにも見えた。それとも若鳥だろうか、体も小さい。この冬を乗り切ることが出来るのだろうか。
どうかお元気で、と先へ進む。

5分もしない内に、大型スーパーに着いた。
そこで息子と別れた。私は店内へ。息子はその先の携帯ショップへ。

息子と別れた後も、過去への懐かしい気持ちだけが、いつまでもとどまっていた。
出来る事なら、小さかった子供たちを、もう一度この腕に、ギュッと抱きしめられたらなあ。
そんな衝動が中々消えなかった。




コメント一覧

ポジ人
@donmac-life ドンマックさん、みんな同じですよ。
子育て中は、必死なものです。
♫みーんな悩んで大きくなった!です。
donmac-life
あぁ、今になって思えば、何であの時に頭ごなしにダメだと全否定したんだろう?何であの時に心も表情も全開で喜んであげられなかったんだろう?
もう1回子育てができるなら上手くできるのに…
なんて思いますが、その時は必死だったのかもですね。
余裕ができた今だから思えることかなあ😅
ポジ人
あたたかなコメントありがとうございます。とても嬉しく受け取りました。
こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。
アイメロディー
ポジティブさま
大きくなった息子さんとの
小学校への道は
一瞬で昔にタイムスリップしたような懐かしい感覚を呼び起こされ、、、
素敵なお話に心温かくなりました😍
🎍本年もどうぞよろしくお願いします🙏
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