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ポジティブな私 ポジ人

父の言葉

父が繰り返し私に言っていた言葉がいくつかある。
耳にタコができるほど言われた言葉。

一つ目は「勉強しなさい」

私は学校も勉強も大嫌いだった。
人の話を聞くのは特に苦手だったので、1時間近く座ってじっとしていなければいけない授業は、私にとって大変苦痛だった。
学校に行きたくなかったが、父は学校を休む事は病気でも無い限り、絶対に許さなかった。
仕方無しに学校へ行っていたが、救いは体育と図工の時間、それと昼休み。それがあったから、何とかそれらに救われながら小学校生活を送った。

とにかく勉強自体が苦痛だったので、自宅で教科書を開く事が無かった。
父は学校から持ち帰るテストの結果を見ては「ちゃんと勉強しろ」とそのつど言った。言われてする様な子供ではなかった。勉強しなければいけないことは重々わかっていた。「勉強しろ」は本人が言われなくても分かりきっている言葉なので、言われても空疎な言葉だった。

時には算数の成績が悪いのを見かねた父が、勉強を見てくれる事もよくあった。何度同じ事を言われても呑み込みが悪く理解出来ない私に、父が腹を立てることもよくあった。
「勉強しなさい」という言葉は、親がよく言う言葉の中で一番子供に無益な言葉だと、実体験を持って理解している。
自分が子供を持ってからは、絶対に言わない言葉に決めていた。
そう決めていたにも関わらず、息子に1回だけ言った。高校受験の時に勉強している様子がない息子に業を煮やして、つい言ってしまった。言ってからすぐに後悔した。

二つ目「お前は問題児だ」

父はよく「お前は問題児だ」と言っていたが、私に向かって言われても、どこが問題なのか、当時は全く自覚が無いので分からなかった。
しかし、自分が子供を持ってみて初めて、当時の自分がいかに色々と問題のある子供であったかが分かった。
私に足りなかった問題の部分。それが、三つめの言葉につながる。

「人の立場に立って物事を考えろ」

恐らく私に一番欠けていたのは「他者への配慮」だったのだと大人になってよく分かった。この言葉を繰り返し父が言ったのは、私が起こす全ての問題の起点がここにあったと父は分かっていたからだろう。

この言葉こそ、事あるごとに頭の中で繰り返される父の残してくれた言葉。私にとっては金言だ。
自己主張の強い子供だった私を、変えてくれたのが正にこの言葉だ。
一度相手の立場に立って物事を考えて見ることで、視野も広くなり、問題を解決するアイデアも生まれる。自分の主張と相手の主張を両面から考慮して対応することで、意味の無い争いを回避する事も出来た。

この言葉は私の身体に染みついて消えることが無い。今でも父の声が頭の中で響く事がある。
問題児であった私を普通の感覚の子供に近づける事に、きっと随分努力してくれたのだろうと思う。また、その苦労も一方ならぬものであっただろうと想像される。
様々なことで、父にさんざん迷惑をかけたが、の時は父の心中を察する事は出来なかった。
父は何事にも無頓着な私を育てながら、きっと「俺の立場に立ってみろ」と私に言いたかったに違い無い。




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