ポジティブな私 ポジ人

襟裳岬まで④ 平取町立二風谷アイヌ文化博物館



二風谷アイヌ文化博物館へ戻って再入館した。同じ日なら一度博物館の外に出ても、再入館できるシステムらしい。

入口を入ってすぐ右手に受付があり、館内奥へと続く細い通路の片側には、アイヌゆかりの作家さん達が制作した、アイヌ工芸品というよりはアーティスティックな木彫作品や織物が多数飾られている。そのどれもが素晴らしい。
かつてはアイヌ工芸品といえば、木彫りの熊が有名であった。子供の頃、家の床の間に木彫りの熊があった事を懐かしく思い出す。
最近は、若者の間で昭和レトロブームだそうで、木彫りの熊も人気なんだそうだ。

館内は広く、4つのゾーンに分かれており、整然とアイヌ民具が並び、お洒落な空間だ。

展示物はみな綺麗で美しい。萱野さんの資料館とかぶる展示品も多いが、萱野さんの資料館の民具の方が実際に使用したという生活感が感じられた。

こちらの博物館の展示品の中で面白いと思ったものをいくつかピックアップ。

館内全体の写真を取らなかったので、パンフレットから館内の雰囲気をどうぞ(汗)。

サパンペ。儀式の際に男性が被る物。クマの頭部の装飾が付いていて可愛い。


「アイヌ紋様を描いてみよう」に応えて、お絵かきボードに描いてみた。アイヌ紋様のこの曲線が非常に魅力的だ。紋様にはそれぞれに意味があるようだ。



木製のおしゃぶり。これは初めて見た。

制裁棒。不義を働いた女性をこの棒でお仕置きしたらしい。木製だけど叩かれたらかなり痛そうだ。

館内にはアイヌ語を簡単に学べる装置があり、観光客の一人が作動させ、アイヌの言葉が流れていた。男声と女声で間を置いて交互に繰り返されていて、外国語のようで興味深かった。声が聞こえるたび、頭の中で“repeat after me ”が浮かぶ。


大きな丸木舟が2艘展示されており、自由に乗ることが出来るようになっていた。早速息子が乗っていた。

自然の中のアイヌの生活を深く知ると、とても無駄のないエコな生活であり、SDGsにかなった暮らしだと思う。
例えば、アイヌの糧となる鮭を減らさないように、鮭を取る時は産卵の終わったメスをとり、鹿や熊をとったら毛皮のみならず、角や爪、内臓も無駄にせず何かに役立てる等など。
もし、アイヌの方々が現在も昔ながらの生活を続けていたのなら、適度に動物の個体数が調整され、札幌の都心部に熊や鹿が現れるなんていうことは無かったのではないだろうか。そんな事を考えた。

博物館の裏側に当たる場所に「にぶたに湖」がある。にぶたに湖はダム湖だ。かすかな記憶で過去に二風谷ダム建設で反対運動があったなあと思い出す。萱野茂さんの土地もダムの底に沈んだ様だ。
そんな湖に白鳥が数百羽ほどいた。正に“白鳥の湖”。
湖は広く白鳥は遥か彼方に群れており、スマホのカメラでは、「白い点々にしか見えないよ」と息子に言われ、確かになあと思い写真を断念した。
湖上の優雅な姿から想像できない調子っぱずれのラッパみたいな鳴き声が、いつまでも響いていた。

博物館に隣接して「沙流川歴史館」がある。無料ということもあり覗いてみた。

入って直ぐに目に入ったのがハヨピラのジオラマ。


歴史館の中には沙流川周辺の動植物の展示物などもあったのだが、記憶の中にこのジオラマばかりが強烈に残ってしまった。

それというのも、義経神社から二風谷ミュージアムへ向かう途中の車中から、この白い建物が見え、息子からこの建物についての情報を聞きかじっていたからだ。


ハヨピラはアイヌ語で「武装した・崖」という意味で、この崖に作られた建物は昭和42年CBA(Cosmic Brotherhood Association)」なる謎の研究団体(現在は消滅)が、宇宙人との交流のために基地を建造したそうだ。
CBA消滅後、平取町の「ハヨピラ自然公園」となったが、現在は入り口であるゲートには「災害の影響のため閉園」と表示されており、入ることは出来ない。建物もすっかり廃墟と化している。

ハヨピラ自然公園のゲート跡。


平取町によるハヨピラの説明板には
「ハヨピラとは、オキクルミカムイ(アイヌにあらゆる生活の方法を教えたとされる文化神)の伝承が残る由緒ある土地として、地域の人に語り継がれている崖をさしています。」とのこと。
オキクルミカムイが、降臨して住んだとされる言い伝えが古くからあると言う事で、オキクルミカムイが宇宙人だったのではないかという説もあるらしい。
何れにしても、神秘的で興味深い話だ。

沙流川歴史館の展望台から、にぶたに湖を眺めてから、歴史館を出た。

博物館の正面にある数件のチセ(家)の間を縫って歩いた。





珍しく補修している1件があった。草の色が他のチセに比べて新しい。

チセの間をぬけ、駐車場の息子の車へと戻った。

続く




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