すると画面によく見慣れた、札幌円山動物園のエントランスが映っていたので、ああ最初から見れば良かったなと後悔した。
「ノアの方舟をつくる人」それは円山動物園に飼育員として関わった本田直也さんのことだった。私は全く知らなかったのだが、爬虫類や両生類の飼育繁殖に於いて、知る人ぞ知るもの凄いエキスパートの方だった。
10月19日にゾウ舎とアジアゾウ、特に子象のタオちゃんを目当に息子と一緒に円山動物園に行ったのだが、その時、近年の繁殖賞が軒並み爬虫類関係であることに気付いた。また、爬虫類館も凄く充実していると感じたのだが、その立役者が本田直也さんだったのだと、この番組(NHKこころの時代ライブラリー再放送)を見て初めて知ったのだった。
本田さんは、小さな頃から生き物全般が好きで飼育していたが、お母さんが動物の毛に対してアレルギーを持っていた為、爬虫類を中心に飼育するようになったそうだ。
ヨウスコウワニの屋内施設での繁殖に国内で初めて成功するなど、爬虫類の繁殖において右に出る人がいないくらい凄い人なのだ。
子供の頃から自宅で大量の爬虫類の飼育と研究を重ねて来られた方なので、むべなるかな。それを許していらしたご両親もまたすごいなあと思った。
現在本田さんは退職されて、ご自分の会社を立ち上げて、動物に関わるお仕事をされているらしい。
今日は、テレビ番組アンビリーバボーでも円山動物園のことが取り上げられていた。
それは自然に近い環境に整えられたゾウ舎の紹介と、ゾウのパールが妊娠してから出産までの経緯等の紹介映像だった。
これまでニュースで流れていたパールの出産のシーンは何度も見たが、生まれた後の子象が立ち上がるまでの映像は初めてだ。その映像が見られたのはとても貴重だった。
ゾウは出産後、子象を立ち上がらせるために蹴るのだという。野生のゾウの出産後のシーンの映像が流れ、確かに生まれたばかりの子象を蹴っていた。
その後、飼育員さんの説明をはさんで、今回の円山動物園のパールの出産直後の映像が流されたのだが、ちょっと観るのが辛くなるほど、パールは我が子を蹴り続けたのだった。
「ああ、もうやめて~」と声を上げたくなる頃、子象が立ち上がり、パールはピタリと蹴るのをやめたのだった。いや~、ホッとした。
時折、蹴り続けて死んでしまう事例もあるという事だったので、繁殖に関わった飼育員さんたちも、当時はきっとハラハラと見守った事だろう。
現在ゾウ舎には、パールとタオ親子とシュテインとニャイン親子、そして唯一のオス象のシーシュの全部で5頭いる。
飼育場は、親子単位とオスとそれぞれ分けて飼育しているのだが、将来的にメスは一つの群れとして飼育することを目指しているという。
ただパールとシュテインはあまり仲が良くないらしく、その足がかりとして子象のタオに興味を持っている、若いニャインを試験的にパール親子と短時間一緒にするという。
その時の映像が流れた。
初めての合流で、ニャインがタオに近づくと、パールがニャインをちょっと押したりして、ドキドキしたのだが、さすがパール。数分後にはニャインに気を許していた。
パールは母親としても優秀だし、頭の良いゾウだと思う。
合流はわずかに15分ほどだったそうだが、何事もなくて良かった。
これも私にとっては貴重な映像だった。
円山動物園が全国放送で取り上げられたことは、札幌市民としてはうれしい限りだった。