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ハラスメント

2024-07-24 08:58:01 | エッセイ

兵庫県知事のパワーハラスメントを告発した県の元局長が自殺──

またまたこんなニュースである。

国会議員に市・町長、次から次にハラスメントが告発されている。

行政機関だけでなく民間企業でも同様なことが起きており、

ハラスメントを受けた社員が退職に追い込まれたり、

さらには自らの命を絶つという不幸な事件も続いている。

 

            

 

そもそもハラスメントとは、

「相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般」を意味する。

このうち「パワハラ」というのは、職場における優位性や立場を利用して

適正範囲を超えた叱責や嫌がらせを行うものだ。

ハラスメントは、このパワハラだけではない。

以前からよく言われていた「セクハラ」「モラハラ」「マタハラ」

「ケアハラ」などのほか、最近は「ジェンハラ」「アルハラ」など

といったものも加わり、現在その種類は50を超えているらしい。

 

人権意識の高まりと言えばそうなのだろうが、

これほどハラスメントと言われるものが溢れていると、少々息苦しくなってくる。

職場においても迂闊にものが言えず、気軽な会話さえためらわれる。

ハラスメントを容認する気は決してないが、

あの冗談交じりの和やかなやり取りが懐かしくなってくる。

 

60を少し過ぎた女性社員。彼女とは30数年職場を同じにしてきた。

だから気安くものが言える。

その彼女がお茶を入れている後ろ姿を見ると、背が丸くなっている。

それで「おい、おい、背中が丸くなっているぞ。

それじゃ、お婆さんになってしまうじゃないか。はい、背中をピッと伸ばして」

そう言った。そんなこと、いつも交わしている会話に過ぎない、そう思っていた。

ところが、返ってきたのは「それって、セクハラですよ」だった。

「ええっ」思いもしない返答に少々慌てた。

でも、振り返った彼女の顔には笑みが……。

すかさず「あっそう、すまんすまん」笑顔には笑顔で返した。

すると、「セクハラ」は苦笑いしながらどこかに姿を消して行ったのである。

 

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