K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

『人生スイッチ』

2016年04月21日 | 映画
おはようございます。久しぶりの投稿です。仕事に忙殺されるというらしからぬ状況に陥り疲れが取れないでいるただけーまです。

ダミアン・ジフロン監督の『人生スイッチ』を鑑賞しました。ペドロ・アルモドバル監督も製作に携わった本作品、少し奇妙な短編集のような映画でした。



<Story>
関わってきた人々もろとも両親の家に突っ込もうとするパイロット、間違えて車をレッカー移動されたことが原因で転がり落ちるように全てを失った男の復讐劇、結婚式で人生最大のピンチを迎えるカップル・・・。小さなきっかけで人生が狂っていく人々のエピソードを、サスペンス、コメディ、バイオレンスなど違う手法で紡ぐ6話オムニバス。(Filmarksより)


星新一のショートショートのような皮肉が効いたショートムービーが6本集まった作品。「おかえし」「おもてなし」「エンスト」「ヒーローになるために」「愚息」「Happy Wedding」の短篇6作にて構成されます。この皮肉の効いたショートムービーの連続は、正にアルゼンチン風「世にも奇妙な物語」ということができるでしょう。そして、ところどころ笑えたにせよ、笑いのツボが何となくわかりづらいのはやはり私が日本人だからなのでしょうか。
突然の死とか、突然のバイオレンス描写が割とあるんですが、笑うタイミングなのかわからずポカン顔で、すごいシュールな笑いだとさえ感じてましたね。


復讐に両親の元に飛行機で突っ込もうとするパイロット(おかえし)


新郎の過去の浮気がバレ修羅場と化す式場(Happy Wedding)

台詞の随所に反体制派染みたメッセージが込められていたのは、南米のほとんどの国が経験した軍事政権を暗示しているのでしょうか。
娘が父親を死に追いやったゴロツキに復讐をする「おもてなし」では「世界は悪人によって支配されている」という台詞がありますし、車をレッカーで移動されたことがきっかけで人生が転落していく「ヒーローになるために」には「政府に搾取される」なんて言葉が出てきます。いずれもありきたりながらも、南米映画で発されることで意味合いが異なってくるように思います。
南米+反体制主義の組合せは、パブロ・ラライン監督の『NO!』が記憶には新しいですが、映像の粗さが妙にリアリティを物語っていて印象的でした。反体制下の中でのあらゆる活動の厳しさが伝わってきます。
そうした南米における表現の不自由さを考えるとき、真っ先に出てくるのはやはりラテンアメリカ文学ですね。ガルシア・マルケスやアレホ・カルペンティエールなど、多くの南米文学者は国外に亡命して作家活動をしていました。印象深いのはアウグスト・モンテロッソのハイパー・ショート・ストーリー「目を覚ましたとき、恐竜はまだそこにいた。」(これで全文の小説)で、軍国であった母国を恐竜として比喩し批難したのです。

ちょっと本題からずれてしまいましたが、要は個人的にはあまり好きじゃなかったという感じですね。

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