K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

【2016年】個人的映画ランキング

2017年01月01日 | 映画
みなさん、どんな年末を過ごされましたか。ぼくは兄弟でガキ使を見ながらおもしろ荘、フットンダ王決定戦と、バラエティに富んだ年越しでした。
金沢旅行(白米千枚田綺麗だった!)、北海道旅行(釧路で野生の鶴に会った!)、新潟旅行(大地の芸術祭初参戦)などなどたくさん旅行しつつ、仕事で全国の大学を行脚したり、種子島までロケットの打ち上げを見に行ったり、初めて芸能人にお会いしたり、会社のCMに出演(CS放送のみでの放映ですが)したりと、なかなか充実した一年だったと振り返りながら思います。

それでは、今年の映画ランキングを昨年通り発表したいと思います!
今年の鑑賞数は新旧作合わせて156本。昨年の100本に対し大幅な更新となりましたが、命を削りながらの鑑賞だったので来年はもう少し大人しくしようかな!笑

【第1位】
山田尚子監督
『聲の形』

『君の名は。』『この世界の片隅に』『ソング・オブ・ザ・シー』『レッドタートル』ドン・ハーツフェルト作品群など、今年も数々のアニメーション作品がありましたが、ダントツで完成度が高かったです。
原作が好きなので粗探ししてやろうという性格悪い視点で鑑賞しましたが、最高すぎて3回も劇場に観に行ってしまいました。アニメーション、構成、サウンド、すべて好みで毎回ボロ泣き。好き過ぎて少し手話覚えてしまったくらいです!円盤確実に買います。。。

【第2位】
アマンダ・ケンネル監督
『サーミ・ブラッド』

2016年の東京国際映画祭のコンペティション部門出品作で、審査員特別賞と主演のレーネ=セシリア・スパルロクが最優秀女優賞を受賞した作品。
サーミ族への迫害というスウェーデンの暗黒の歴史を正面から取り上げ、ラップランドの広大な自然の中で少女が葛藤する姿は身に染み入るものがありました。監督も主演もサーミ族出身で、このタッグでなければ作ることができない素晴らしい映画!2017年、日本各地の映画館でロードショーですのでお見逃しなく!

【第3位】
ルシール・アザリロヴィック監督
『エヴォリューション』

「なんという、美しい悪夢」というキャッチコピー通り、まさにグロテスクな美が前面に押し出された作品でした。キービジュアルも美しさの中にどこか漠とした不穏さが漂っています。
少年と女性だけしか暮らさない無人島で、少年たちに行われる謎の人体実験。豊かな色の海辺の街でディストピアが美しく描かれます。少女たちしか居ない森の学校を舞台に描いた同監督の『エコール』も観たいなぁ。

【第4位】
ギレルモ・デル・トロ監督
『クリムゾン・ピーク』

アラデールの古い洋館で起きる幽霊譚。血のように赤く染まる雪の美しさを始め、要所要所での美術効果が素晴らしいです。特に、墓所で降り積もる雪の白さと喪服の黒さの対比による静かな美しさは必見。登場人物の衣装もかなり力が入っており、それだけでも劇場で観る価値ありです。
アリス役として名高いミア・ワシコウスカが好きすぎて非常に高評価でした。

【第5位】
ギャスパー・ノエ監督
『LOVE 3D』

前半は主人公の傍若無人な様に呆れ返りましたが、後半で主人公の内面と過去が絆されていくにつれ、深い愛情が露わになってからは評価が一変。
時間の流れと愛情の高まりが反比例的に相関関係をなし、最後バッハの『ゴルドベルク変奏曲』で迎えるエンドクレジットは見事としか言いようがありません。

【第6位】
ヨルゴス・ランティモス監督
『ロブスター』

「成人独身者はパートナーを見つけられなければ好きな動物に変えられてしまう」というとんでも設定の物語。主人公がロブスターになりたいと望んだことから本タイトルになっています。
少し霞んだ色調とホテルに出てくる調度がクラシックで、音楽も絶妙にマッチしていて非常に好みな作品でした。最後に提示される愛情の行方も、どちらともつかずで一考させらるものがあります。

【第7位】
ジャコ・ヴァン・ドルマル監督
『神様メール』

神様の娘エア(自身はハムサンドを倍にするなど微笑ましい力しか持っていない)が、性格の悪い父親に反旗を翻して寿命を知らせるメールを人間界に送ることで始まるほのぼのヒューマンドラマ。
とにかく、主演のピリ・グロワーヌがかわいい映画です。ユーモアも効果的に効いていて、観ていて純粋に幸せになれる作品。最後に、エアのお母さんが女神として君臨するエンドもモダンな感じで大好き!

【第8位】
フィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督
『最高の花婿』

ドゴール信者の父親とカトリック左派の母親を持つヴェルヌイユ家の元に嫁いできた、アラブ人、ユダヤ人、中国人、コートジボワール人。国際結婚を題材にさまざまな社会問題に対するメッセージが込められた作品です。
人種差別や宗教問題、民族観などの繊細な問題をコメディタッチで触れながらも、感動的なラストで締めくくる構成が巧み。最後のダンスシーンはもうハッピー過ぎて最高!

【第9位】
バイロン・ハワード/リッチ・ムーア監督
『ズートピア』

もう言わずもがなの名作ですね。ニックとジュディのコンビに萌えた人たちも多いのでは!?社会の現実を動物という世界観でやんわりと突きつけながらも、それでも希望を肯定する社会性のある作品でもあります。
また、マフィアのような悪も多様性のひとつとして認めながら描いているのが、生々しいリアリティーを伝えていますね。まだ観ていない人はぜひ。

【第10位】
マシュー・ハイネマン監督
『カルテル・ランド』

麻薬カルテルが支配するミチョアカン州を舞台に、支配構造が逆転しても消えない人の悪意をドキュメンタリー映像で捉えた作品です。
町医者のミレレスが組織した自警団が、腹心の裏切りによって支配組織へと変貌してしまう絶望感は筆舌に尽くしがたい。最後に円環的に使用される冒頭の麻薬製造シーンは「正義は揺らいでも、悪は揺らがない」というキャッチコピーを十二分に反映しています。


……というわけで、2016年ベスト10でした。もし気になるのがあったらぜひ観てみてください!
トップ10以外にも、クラウス・ハロ監督『こころに剣士を』、ドゥニズ・ガムゼ・エルグヴァン監督『裸足の季節』、ミシェル・ゴンドリー監督『グッバイ、サマー』、セバスチャン・スキッパー監督『ヴィクトリア』などなど、良い映画がたくさんありましたね。
2017年は映画観てみようって思ってる人は、個別に合ったオススメ教えますのでお声掛けください!笑

因みに、旧作の方も念願のタルコフスキー監督の『サクリファイス』やクストリッツァ監督『アンダーグラウンド』など、人生トップ10に入る作品に出会えて幸せでしたね〜。

2017年も良い映画に出会えますように。


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