K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

イエジー・スコリモフスキ『イレブン・ミニッツ』

2017年05月17日 | 映画
こんばんは。久しぶりの皇居ランで身体がバキバキのただけーまです。

さて、突然ですが。11分あったら、みなさんは何ができますか?ぼくは11分あっても特に何もできない無能男なのですが、実は11分あれば人生は劇的に変化し得えます、というのが、巨匠スコリモフスキの最新作『イレブン・ミニッツ』です。



17:00〜17:11までの11分間の間に起きた、複数の人間ドラマが巧みに組み合わせられた実験的作品。最終的には複数の物語が集約し、大惨事をもたらす結果になります。ストーリー性のない、意味をなさないモンタージュの連続で、非常にアヴァンギャルドな作品でした。
この作品を通じて強く感じたのは、たった11分間で平穏な人生が一変してしまう「人生の脆さ」です。そうしたテーマは、テロや災害など現代社会の問題を反映しながらも、ダミアン・ジフロン監督の『人生スイッチ』(ちょっとしたきっかけで人生を狂わせてしまう6つの短篇集)も思い返させます。
11の1が腕となってもう一方の1に掴みかかっているビジュアルが最高にクール。人生というものは運命という悪魔の手にかかっているわけですね。



登場人物はみな上空に異質な物体が浮いているのを認めます。それが何かは物語上は明らかにされませんが、登場人物を俯瞰するかのように浮遊する存在は、語り手としての神の視点を思わせます。
俯瞰的な神の視点は、最後複数の俯瞰映像がコラージュされていくシーンで明らかになるのですが、このコラージュがロック音楽と進んでいく様子が最高にカッコいい。まさにそのまま、ナムジュン・パイクのようなビデオアートとして通用しそうな出来です。



映画監督に犯されそうになる女優役を演じた、パウリナ・ハプコって女優のどエロなインパクトが強烈に残っています。



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