K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

ウディ・アレン『カフェ・ソサエティ』

2017年05月17日 | 映画
おはようございます。毎週のように東京ビッグサイトに通いつめているただけーまです。

たまにはタイムリーな更新を、ということで、ウディ・アレン監督の最新作『カフェ・ソサエティ』鑑賞しました。
ジャズ好きな男と夢を追いにハリウッドに出てきた女の悲恋物語。デイミアン・チャゼル監督の『ラ・ラ・ランド』が大ヒットした記憶が新しいですが、奇しくも設定が似通っています。




<Story>
もっと刺激的で、胸のときめく人生を送りたい。漠然とそんな願望を抱いたニューヨークの平凡な青年ボビーがハリウッドを訪れる。時は1930年代、この華やかなりし映画の都には、全米から明日の成功をめざす人々が集まり、熱気に満ちていた。映画業界の大物エージェントとして財を築いた叔父フィルのもとで働き始めたボビーは、彼の秘書ヴェロニカ"愛称ヴォニー"の美しさに心を奪われる。ひょんな幸運にも恵まれてヴォニーと親密になったボビーは、彼女との結婚を思い描くが、うかつにも彼はまったく気づいていなかった。ヴォニーには密かに交際中の別の男性がいたことに……。(「映画『カフェ・ソサエティ』公式サイト」より)


【以下、ネタバレあり】

同監督の『ミッドナイト・イン・パリ』と『マジック・イン・ムーンライト』が大好きすぎて楽しみにしてた作品。ゴリゴリのウディ・アレン節が効いていて、ユーモアたっぷりの皮肉で世の中の真実を表現した作品です。
ただ、個人的にはエマ・ストーンが最高にかわいかった『マジック・イン・ムーンライト』でのインテリ批判や、ケイト・ブランシェットが主演を務めた『ブルージャスミン』におけるハイソ批判など、もう少し毒があった方が好みだったかなぁ、という感想でした。

相思相愛ながらも選ばなかった女と選ばれなかった男が、再開したときに嘗ての想いに寄せられてキスを交わす。それは、選択された愛情に対するシニカルな視点でもあります。






惹かれ合うボビーとヴォニー

ハリウッドに出てきた主人公のボビーは、叔父のフィルに紹介された女性ヴェロニカ(ヴォニーが愛称)にハリウッドを案内されていく中で次第に恋に落ちていきますが、実はヴェロニカはフィルの不倫相手というオチ。結局、ヴォニーを叔父に取られ、ボビーは実家のあるニューヨークへ。兄のツテでバーで働き始めます。


カフェの支配人として働くボビー

そこで、カフェ・ソサエティのイロハを学びながら、ひとりの男として自立し始めるボビー。そこで出会った、嘗て恋した女性と同名のヴェロニカというバツイチの女性と結婚します。


結婚相手のヴェロニカ

予告編では二人のヴェロニカという触れ込みでしたが、本篇の内容は完全にひとりのヴェロニカ(ハリウッドのヴォニー)が中心の話でした。
まるで、ヴォニーを忘れるために別のヴェロニカと結婚し、妊娠報告を受けた際も、ヴェロニカに向かって思わずヴォニーと呼んでしまいます。再開したヴォニーに関係を迫る姿勢からもボビーの強い未練が感じられるわけです。
ヴォニーも実は同じ思いで、ボビーのことを想っていたことがハッピーエンドを予想させますが、結局二人は口づけを交わすまでで結ばれず、各々の人生を生きながらぼんやりと相手のことを夢想するカットで終わりになります。
最後に呟かれる"dream is a dream(夢は夢)"という言葉は、まさに『ラ・ラ・ランド』にも当てはまる台詞でしょう。

しかし、アイゼンバーグは『嗤う分身』のときも思いましたが、冴えない男性の演技が素晴らしいですね〜。


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