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K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

19th DOMANI・明日展

2017年04月22日 | 美術
こんばんは。これからドイツに行くんですが、海外不慣れすぎて気が気でないイッヒハイセケイマです。

今回はまた美術展ということで、もう終わってるんですが「19th DOMANI・明日展」の内容で更新です。





この展示は写真撮影OKだから嬉しいんですよね。海外で積んだ研鑽が活かされた、非常に魅力のある作品群です。セミプロ(?)ならではの勢いのある作風も感じました。

第19回となった本年のテーマは「reconsidering Japan」、2020年に東京オリンピックの開催を前に、あらためて日本を考える場としたいのだそうです。
去年のように、個人的に気に入った作家さんをかいつまんでご紹介します。


池内晶子《Knotted Thread-Red-h120cm》2009
※1998年にアメリカで研修

この作品が一番シビれました。第六感がピリピリと反応し背筋がゾクッとくる、秀でたインスタレーション作品と対峙したとき特有のあの感覚です。

最早この作品の空間と同期することでしか、作品の良さを伝えられないのですが、とにかく奇妙な感覚なんです。
一本では視認できない細糸が縒り合わせられ、ひとつの実体を形成している作品。遠目では「赤い何か」が浮遊しているようにしか見えませんが、しゃがんで真横から見てみると、細糸が集合しているのが見えます。



この奇妙な心地よさは、まるで浮きそうにない繊維質のビジュアルが、浮いているように見えるという体験に由来するものでしょう。
金属質の球体のような幾何学的な形が浮遊するイメージであれば、SF作品など最新のCG映像で恐らく多少は慣れているでしょうが、この細糸という、ある種有機的なイメージの浮遊は慣れない光景です。





平川祐樹 《Vanished Tree》2012
※2015年からドイツで研修中

映像作品ではありますが、見せ方はインスタレーションです。映像を同時に見せることで、空間や時間をそこに立体的に出現させる作品。
《Vanished Tree》は、森の中での天(見上げた先の木立)と地(見下ろされた切株)の視点を、床と天井に映し出した作品。
そこにおいて、複数の鑑賞者はある種の空間を脳内で想像します。それは深い森の中のぽっかり空いた空間かもしれませんし、広い庭の一部かもしれない。複数の「空間」が鑑賞者の精神世界に現出することになるわけです。


平川祐樹 《Fallen Candles》2014

《Fallen Candles》は、蝋燭の燃え尽きるまでの異なる進度を複数映写し、空間ではなく時間の移り変わりを鑑賞者に意識させます。
それぞれの映像は進度は違えど同じ位相で流れていくため、とりわけ「時間」という概念をリアルに知覚することができるのです。

「空間」や「時間」といったような抽象的な概念に対して、それを認識させようというアプローチ(なのかはわかりませんが!)は、非常に面白く成功している試みに感じられました。



金子富之《レッドバナスパティラージャ》2012
※2015年にカンボジアで研修


金子富之《怖畏金剛》2014



《レッドバナスパティラージャ》は今回のメインビジュアルとして使われている作品です。
この作品群は何がすごいかと言うと、アート以前にもうキャラクター造形として圧倒されてしまうところです。無論、ファインアート的な技巧を残しつつも、その余りにもインパクトのあるビジュアルに思わず目がいってしまいます。
男子なら好奇の視線を向けざるを得ない、この得も言われぬ「遊戯王感」と言いましょうか。「デーモンの召喚」なんてあっさりと倒してくれそうなビジュアル、シビれますね。
今ミヅマアートギャラリーで個展「荒ぶる神々」をやってるんだそうですが、渡航中で行けないのが残念でなりません。

今回も非常に見応えのある展示でした。来年はとうとう第20回目ということで、今から楽しみです。


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