K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』

2016年11月11日 | 映画
こんばんは。先週は仕事で種子島出張という名の旅行に行ってきました、ただけーまです。快晴の種子島を満喫できましたが、プライベートでもまた行ってみたいですね。




<Story>
…2016年、東京の片隅で、それなりに、普通に生きていた私。しかし、その"普通"であることは、こんなにも残酷に、そしてあっさりと崩壊してしまった…。


岩井俊二監督の作品は意外と初鑑賞でした。3時間とは思えないほど、物語はあっという間に終幕。これほどまでに没入できたのは、黒木華の演じる皆川七海の無個性があまりにも自然な演技だったからでしょう。
強引さに抗えない典型的な「巻き込まれ体質」の皆川は、結婚式への代理親族発注を皮切りに、次第に奇妙な出来事の中心へと足を踏み入れていきます。



また、偽の親族を斡旋する「何でも屋」安室の、気さくでありながら敵でも味方でもない、ピエロ的なキャラクターは非常に魅力的。その立ち位置を十二分に表現した綾野剛という俳優の演技力が光っていました。キャラクターが本人の素に近いのではないかと思うほど、自然で説得力のあるもの(不自然なキャラクターであるにも関わらず!)でした。

そして、タイトルにもなっている「リップヴァンウィンクル」の正体は、皆川が代理親族のバイトで出会った真白というAV女優。巻き込まれ体質の皆川は、メイドとして真白の所有する家に住みこみで働くことになります。
真白役を務めたのがシンガーソングライターのCocco。初めて観たCoccoの演技は、正直なところ個性が立ちすぎて違和感を感じました。歌手というイメージが先行して、AV女優に感じられなかったのも違和感の原因かもしれません…ジブリの声優に俳優を起用する違和感に通じるものがありました。
そんな個人的な違和感はありつつも、真白がウェディングドレスで皆川とはしゃぐ百合シーンは圧巻。BGMとして流れるクラシック音楽も変な形でマッチし、チグハグな心地よさがありました。「リップヴァンウィンクルの花嫁」とは皆川のことだったんですね。



最後、病に侵されていく自らの身体に対して、イモガイの毒で終止符を打つ真白。白いベッドの上に横たわる二人の花嫁の姿は美しいの一言。

真白の仏壇を前にして全裸で焼酎を飲むシーンは正直意味がわからないんですが、有名なクラシック音楽とともに強烈に印象に残ります。リリィさんと綾野剛の半裸姿が拝めますよ!
黒木華脱がないかな〜などということは決して考えていません。決して。


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