K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

『彼は秘密の女ともだち』

2016年01月28日 | 映画
こんばんは。最近妹・弟と暮らしていて海街ダイアリーみたいな生活をしてます。ただけーまです。

今回はフランソワ・オゾン監督の最新作『彼は秘密の女ともだち』での更新です。




<Story>
クレールは幼い頃からの親友のローラを亡くし、悲しみに暮れていた。残された夫のダヴィッドと生まれて間もない娘を守ると約束したクレールは、二人の様子を見るために家を訪ねる。するとそこには、ローラの服を着て娘をあやすダヴィッドの姿があった。
ダヴィッドから「女性の服を着たい」と打ち明けられ、驚き戸惑うクレールだったが、やがて彼を「ヴィルジニア」と名づけ、絆を深めていく。
夫に嘘をつきながら、ヴィルジニアとの密会を繰り返すクレール。優雅な立ち居振る舞いにキラキラ輝く瞳で、化粧品やアクセサリー、洋服を選ぶヴィルジニアに影響され、クレール自身も女らしさが増してゆく。
とある事件を境に、ヴィルジニアが男であることに直面せざるを得なくなったクレールが、最後に選んだ新しい生き方とは──?(オフィシャルサイトより)


色々な性や恋愛の形が錯綜しながら展開していくなあと思いながら鑑賞していました。
ダヴィッドが母親の代わりになろうという動機から、亡くなった妻の衣類を持ち出してヴィルジニアに成っていくのは、金田一蓮十郎の漫画「ニコイチ」のような外さない展開だなと思いましたが、実はクレールが学生の頃はローラに好意を寄せるエスの関係だったというのがこの映画でとても興味深い点です。



嘗て想いを寄せていた同性の結婚相手と、女友達として付き合うという構造。ひょんなことからダヴィッドは女装をやめるのですが、それ以来ヴィルジニアが恋しくなってしまうクレールは、まさにそこに嘗てのローラの姿を感じたからなのではないでしょうか。



そしてクレールはヴィルジニアと性的関係を結ぼうとするのですが、ヴィルジニアの身体をなぞっていく最中に気づいてしまう。というよりも、痛感してしまうのです、ダヴィッドはどこまでいっても男なのだということに。そこからクレールはヴィルジニアが男であることの悍ましさからダヴィッドの元から去るのですが、最終的には良き女友達として付き合っている二人の姿が描写されていて心温まる終わり方でした。

うーん、しかしダヴィッドがもっと女性的であったらより好みの映画だったかもしれません。それこそ、だんだんとヴィルジニアがローラに似てくるような設定であれば、性と愛の関係性に対して新しい問題提起になったのかなーとか思いましたが、ちょっとそれは安直すぎますかね。

いやあ、それにしても映画の冒頭で描写される、若かりし頃のローラとクレールの可愛さは非常に眼福なのでした。

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