こんにちは。6月に入ってしまいましたね。じっとりした梅雨は大嫌いな、春生まれのただけーまです。
今回はカルロス・ベルムト監督の『マジカル・ガール』で更新。強烈なトレーラーとメインビジュアルだけで引き込まれてしまう本作ですが、なんと監督が「魔法少女まどか☆マギカ」に影響を受けているとのことで、ますます期待値が高まっての鑑賞でした。
<Story>
白血病で余命わずかな12歳の少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。彼女の願いはコスチュームを着て踊ること。 娘の最後の願いをかなえるため、父ルイスは失業中にもかかわらず、高額なコスチュームを手に入れることを決意する。 どうしても金策がうまくいかないルイスは、ついに高級宝飾店に強盗に入ろうとする。まさに大きな石で窓を割ろうとした瞬間、 空から降ってきた嘔吐物が彼の肩にかかるー。心に闇を抱える美しき人妻バルバラは、逃げようとするルイスを呼び止め、自宅へと招き入れる。 そして…。バルバラとの“過去”をもつ元教師ダミアンは、バルバラと再会することを恐れている。 アリシア、ルイス、バルバラ、ダミアン―決して出会うはずのなかった彼らの運命は、交錯し予想もしない悲劇的な結末へと加速していく……。(オフィシャルサイトより)
実は本作のカルロス・ベルムト監督は魔法少女まどか☆マギカ(以下まどマギ)に強い影響を受けているのだとか。さしづめ、願いを唱えた魔法少女(アリシア)と破滅を導く魔女(バルバラ)、そして魔女に従順な使い魔(ダミアン)の話、といったところでしょうか。アリシアの願いを叶えるために奔走する父ルイスもまた、アリシアの使い魔のように働くわけですから、そういう意味では二人の魔(法少)女の話とも言えるでしょう。ルイスか文学教師、ダミアンが数学教師というのもまたわかりやすい二項対立です。
白血病の少女アリシアの「ユキコのコスチュームを着て踊りたい」という無垢な願いが破滅をもたらすプロットはまさにまどマギに通じるものがありました。
願いが叶ったアリシア
世界(mundo)、悪魔(diablo)、肉(carne)の三章構成になっている本作。バルバラとダミアンが蠕動し始める悪魔と性欲を仄めかす肉、世界は常識的に過ごしていては娘の願いを叶えられない虚しい現実のことを意味しているのでしょう。冒頭で提示される主題「完全な真実というのは常に答えが同じであり、つまり2+2は4なのだ」が世界の無情な冷たさを物語っているようでもあります。
しかし、主題の伝えたかった本当の真実とは何なのでしょう。それは肉欲によって踊らされるダミアンが同じ過ちを繰り返すことのようにも思えますし、願いには代償がつきものというもっと普遍的な問題のようにも思えます。バルバラは「男性の暴力性を引き出す女性」として、ファム・ファタル的な存在として描かれていたようですが、そうした魔性の招く普遍的な悲劇こそが世界の真実なのでしょうか。うーん、それにしても難解です……
破滅をもたらす魔女バルバラ
冒頭幼い頃のバルバラと教師ダミアンによる主題提示から、長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」に合わせて踊るアリシアのシーンにかけてはかつてないほどの魅力的なオープニングでした。
しかし名前がバルバラ(=バルバロイ)とかダミアン(=デーモン)、ルイス(=聖ルイス)というのは少し狙いすぎのような気もしましたけど!
カルロス・ベルムト監督は実は勅使河原宏監督がお気に入りとのことなので、まどマギ・勅使河原宏ともに好きな私は勝手に親近感を持っているのでした。次回作は製作にペドロ・アルモドバル氏が入るそうなので、ますます期待が高まります。
今回はカルロス・ベルムト監督の『マジカル・ガール』で更新。強烈なトレーラーとメインビジュアルだけで引き込まれてしまう本作ですが、なんと監督が「魔法少女まどか☆マギカ」に影響を受けているとのことで、ますます期待値が高まっての鑑賞でした。
<Story>
白血病で余命わずかな12歳の少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。彼女の願いはコスチュームを着て踊ること。 娘の最後の願いをかなえるため、父ルイスは失業中にもかかわらず、高額なコスチュームを手に入れることを決意する。 どうしても金策がうまくいかないルイスは、ついに高級宝飾店に強盗に入ろうとする。まさに大きな石で窓を割ろうとした瞬間、 空から降ってきた嘔吐物が彼の肩にかかるー。心に闇を抱える美しき人妻バルバラは、逃げようとするルイスを呼び止め、自宅へと招き入れる。 そして…。バルバラとの“過去”をもつ元教師ダミアンは、バルバラと再会することを恐れている。 アリシア、ルイス、バルバラ、ダミアン―決して出会うはずのなかった彼らの運命は、交錯し予想もしない悲劇的な結末へと加速していく……。(オフィシャルサイトより)
実は本作のカルロス・ベルムト監督は魔法少女まどか☆マギカ(以下まどマギ)に強い影響を受けているのだとか。さしづめ、願いを唱えた魔法少女(アリシア)と破滅を導く魔女(バルバラ)、そして魔女に従順な使い魔(ダミアン)の話、といったところでしょうか。アリシアの願いを叶えるために奔走する父ルイスもまた、アリシアの使い魔のように働くわけですから、そういう意味では二人の魔(法少)女の話とも言えるでしょう。ルイスか文学教師、ダミアンが数学教師というのもまたわかりやすい二項対立です。
白血病の少女アリシアの「ユキコのコスチュームを着て踊りたい」という無垢な願いが破滅をもたらすプロットはまさにまどマギに通じるものがありました。
願いが叶ったアリシア
世界(mundo)、悪魔(diablo)、肉(carne)の三章構成になっている本作。バルバラとダミアンが蠕動し始める悪魔と性欲を仄めかす肉、世界は常識的に過ごしていては娘の願いを叶えられない虚しい現実のことを意味しているのでしょう。冒頭で提示される主題「完全な真実というのは常に答えが同じであり、つまり2+2は4なのだ」が世界の無情な冷たさを物語っているようでもあります。
しかし、主題の伝えたかった本当の真実とは何なのでしょう。それは肉欲によって踊らされるダミアンが同じ過ちを繰り返すことのようにも思えますし、願いには代償がつきものというもっと普遍的な問題のようにも思えます。バルバラは「男性の暴力性を引き出す女性」として、ファム・ファタル的な存在として描かれていたようですが、そうした魔性の招く普遍的な悲劇こそが世界の真実なのでしょうか。うーん、それにしても難解です……
破滅をもたらす魔女バルバラ
冒頭幼い頃のバルバラと教師ダミアンによる主題提示から、長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」に合わせて踊るアリシアのシーンにかけてはかつてないほどの魅力的なオープニングでした。
しかし名前がバルバラ(=バルバロイ)とかダミアン(=デーモン)、ルイス(=聖ルイス)というのは少し狙いすぎのような気もしましたけど!
カルロス・ベルムト監督は実は勅使河原宏監督がお気に入りとのことなので、まどマギ・勅使河原宏ともに好きな私は勝手に親近感を持っているのでした。次回作は製作にペドロ・アルモドバル氏が入るそうなので、ますます期待が高まります。
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