こんばんは。
いよいよ秋が本格化してきましたね!
ちょっぴり憂いの季節ですが、涼しくなってきて過ごしやすいです^^
まあ、若干風邪気味なのが玉に傷ですが。
というわけで!
先日、アグニェシュカ・ホランド監督の「ソハの地下水道」という作品を観てきました。
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたポーランドの作品です。
2時間半近くありましたが、あっという間でした。
今年観た中で1番自分好みだったかもしれません・・・っていうくらい素晴らしい作品でした。
とにかく、芸術性が高い作品だと感じましたね・・・
「ダークナイト」ほどの哲学はないですが、とにかく映画とはかくあるべし!というものを体現していたような印象です。
っていうと、「アベンジャーズ」みたいなお祭り系お金かけまくり映画を連想しがちになってしまうので、よろしくないですね笑
記録映画とはかくあるべし!といったような映画です。
今年観た中だったら、ガス・ヴァン・サント監督の「ミルク」に近いかもしれません。
まあ、ぼくの卒論の題材が記録芸術についてなので、そういう部分に過敏に反応してしまう感は否めませんが。
とにかく、日常に潜む「ドラマ」を映画で洗い出す、静かな感動――!!
史実を映画化したものです。
原題は「In Darkness」
ポーランドの地下水道で14カ月隠れて暮らしたユダヤ人と支援し続けたソハ・ポルディックの話。
戦争もの、しかもWWⅡでなかなか生々しい表現もあるので、グロが嫌いな方は少し構えて観ると良いかもしれません。
あと、R15指定レベルの性的描写(ただし、エロスは全く感じられない)もあるので、そういうの嫌いな人も注意!!笑
とにかく、非の打ちどころがないと言っても良いレベルの完成度です。
日比谷シネマズシャンテでしか上映していないのが残念なレベル・・・
「真実ゆえに生まれるサスペンスがある。これは、英雄のでてこない『シンドラーのリスト』だ。」(ウォールストリート・ジャーナル)
というキャッチコピーがしっくりきますね。
「シンドラーのリスト」とは撮影法も鑑賞後の感触も全く違いますが笑
とにかく、今何か「いい映画」が観たいと思ってる人には間違いなくこれを勧めます!
生きることの生々しさを実にうまく表現できていました。
戦時中でも衰えることのない人間の欲・・・
それは被征服者側も同じで、他人の眼を盗んではセックスをする。
性描写が多いのも、そうした人間の「どうしようもない」部分を表現したかったからなんでしょう。
映像の要素でよかったのは、光と闇の対比が非常にうまいという点です。
基本的にこの映画は、地上か地下か、の2択で、割合としては6:4~7:3くらいの比率で暗闇が多いです。
加えて、地上に関しても、戦時中の薄暗い雰囲気を明度や彩度で表現しているため、全体的に薄暗い雰囲気が多いんですね。
だからこそ、明るいものがやたらと浮いてきます。
典型的なのは子どもでしょうね。
子どもの顔や姿が光で照らされるシーンが実に印象的でした。
子どもの無邪気さは戦時中も健在で、薄暗さ漂うこの映画で唯一息が吸えるような部分です。
他にも、地下にいた人が地上に出るときに眼をくらませたような眩暈を暗示するカットなんかも、明暗の対比を強調するのに活きていました。
そしてラスト―シーン。
終戦を迎え、地下水道でソ連兵の声が聞こえたあたりからこの映画はこの上ないほど素晴らしいシーンを迎えます。
ソハが隠し部屋に来て、ユダヤ人に終戦を告げ、マンホールから外に出ていくシーン。
ここで「最後にやってくれたな・・・!」と思わされたのが、サウンドですね。
マンホールから出てから映画が終わるまでバックの無音状態が続きました。
それまでは地下水道や収容所のシーンが多かったので、がやがやしたシーンが多かったんですね。
しかも、ラストシーンまでは地下水道がメインだったため、響く音の五月蝿いこと。
それに比べて、ラストシーンで響くのはソハを始めとする人の声のみ。
生きている人間の声の生々しさというか、瑞々しさが伝わってくる演出。
「見てくれ!おれのユダヤ人だ!」
と空虚に響くソハの声。
なんか、もう表現しようもないほど熱いものが込み上げてきて、結局泣いてしまいました。
明るさ+無音状態という、それまでの長い暗澹とした、音の多いシーンと対比して、ものすごく雰囲気の軽いショット。
ギリギリまで潜水して最後に息を吸ったような感覚に陥ります。
緊張からの解放、という表現でも良いような気もしますが。
とても素晴らしい映画でした。
今年観た中では一番よかったかも。
本編後は、ドキュメンタリータッチの作品でよくある、その後の史実が字幕で語られて終わりになります。
ソハはその後ソ連軍の暴走車から娘をかばって死亡。
周りからは、ユダヤ人をかばったから神から罰が下った、と言われたそうです。
そして、それに対する最後の極めつけの字幕が・・・
「人間は神を利用してでもお互いを罰したがる」
というもので、この映画を観た後にはすごくずっしり来る重たい言葉でした。
というわけで、今映画を観たいと思ってる方!
是非日比谷シャンテへ!!
hona-☆
いよいよ秋が本格化してきましたね!
ちょっぴり憂いの季節ですが、涼しくなってきて過ごしやすいです^^
まあ、若干風邪気味なのが玉に傷ですが。
というわけで!
先日、アグニェシュカ・ホランド監督の「ソハの地下水道」という作品を観てきました。
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたポーランドの作品です。
2時間半近くありましたが、あっという間でした。
今年観た中で1番自分好みだったかもしれません・・・っていうくらい素晴らしい作品でした。
とにかく、芸術性が高い作品だと感じましたね・・・
「ダークナイト」ほどの哲学はないですが、とにかく映画とはかくあるべし!というものを体現していたような印象です。
っていうと、「アベンジャーズ」みたいなお祭り系お金かけまくり映画を連想しがちになってしまうので、よろしくないですね笑
記録映画とはかくあるべし!といったような映画です。
今年観た中だったら、ガス・ヴァン・サント監督の「ミルク」に近いかもしれません。
まあ、ぼくの卒論の題材が記録芸術についてなので、そういう部分に過敏に反応してしまう感は否めませんが。
とにかく、日常に潜む「ドラマ」を映画で洗い出す、静かな感動――!!
史実を映画化したものです。
原題は「In Darkness」
ポーランドの地下水道で14カ月隠れて暮らしたユダヤ人と支援し続けたソハ・ポルディックの話。
戦争もの、しかもWWⅡでなかなか生々しい表現もあるので、グロが嫌いな方は少し構えて観ると良いかもしれません。
あと、R15指定レベルの性的描写(ただし、エロスは全く感じられない)もあるので、そういうの嫌いな人も注意!!笑
とにかく、非の打ちどころがないと言っても良いレベルの完成度です。
日比谷シネマズシャンテでしか上映していないのが残念なレベル・・・
「真実ゆえに生まれるサスペンスがある。これは、英雄のでてこない『シンドラーのリスト』だ。」(ウォールストリート・ジャーナル)
というキャッチコピーがしっくりきますね。
「シンドラーのリスト」とは撮影法も鑑賞後の感触も全く違いますが笑
とにかく、今何か「いい映画」が観たいと思ってる人には間違いなくこれを勧めます!
生きることの生々しさを実にうまく表現できていました。
戦時中でも衰えることのない人間の欲・・・
それは被征服者側も同じで、他人の眼を盗んではセックスをする。
性描写が多いのも、そうした人間の「どうしようもない」部分を表現したかったからなんでしょう。
映像の要素でよかったのは、光と闇の対比が非常にうまいという点です。
基本的にこの映画は、地上か地下か、の2択で、割合としては6:4~7:3くらいの比率で暗闇が多いです。
加えて、地上に関しても、戦時中の薄暗い雰囲気を明度や彩度で表現しているため、全体的に薄暗い雰囲気が多いんですね。
だからこそ、明るいものがやたらと浮いてきます。
典型的なのは子どもでしょうね。
子どもの顔や姿が光で照らされるシーンが実に印象的でした。
子どもの無邪気さは戦時中も健在で、薄暗さ漂うこの映画で唯一息が吸えるような部分です。
他にも、地下にいた人が地上に出るときに眼をくらませたような眩暈を暗示するカットなんかも、明暗の対比を強調するのに活きていました。
そしてラスト―シーン。
終戦を迎え、地下水道でソ連兵の声が聞こえたあたりからこの映画はこの上ないほど素晴らしいシーンを迎えます。
ソハが隠し部屋に来て、ユダヤ人に終戦を告げ、マンホールから外に出ていくシーン。
ここで「最後にやってくれたな・・・!」と思わされたのが、サウンドですね。
マンホールから出てから映画が終わるまでバックの無音状態が続きました。
それまでは地下水道や収容所のシーンが多かったので、がやがやしたシーンが多かったんですね。
しかも、ラストシーンまでは地下水道がメインだったため、響く音の五月蝿いこと。
それに比べて、ラストシーンで響くのはソハを始めとする人の声のみ。
生きている人間の声の生々しさというか、瑞々しさが伝わってくる演出。
「見てくれ!おれのユダヤ人だ!」
と空虚に響くソハの声。
なんか、もう表現しようもないほど熱いものが込み上げてきて、結局泣いてしまいました。
明るさ+無音状態という、それまでの長い暗澹とした、音の多いシーンと対比して、ものすごく雰囲気の軽いショット。
ギリギリまで潜水して最後に息を吸ったような感覚に陥ります。
緊張からの解放、という表現でも良いような気もしますが。
とても素晴らしい映画でした。
今年観た中では一番よかったかも。
本編後は、ドキュメンタリータッチの作品でよくある、その後の史実が字幕で語られて終わりになります。
ソハはその後ソ連軍の暴走車から娘をかばって死亡。
周りからは、ユダヤ人をかばったから神から罰が下った、と言われたそうです。
そして、それに対する最後の極めつけの字幕が・・・
「人間は神を利用してでもお互いを罰したがる」
というもので、この映画を観た後にはすごくずっしり来る重たい言葉でした。
というわけで、今映画を観たいと思ってる方!
是非日比谷シャンテへ!!
hona-☆
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