0-0.はじめに(その1)
〔注意〕「0-0.はじめに(その1)」はこの「クリコン製作」の前段ですので、飛ば
して頂いてかまいません。「0-1.はじめに(その2)」からがクリコン製作の開始とな
ります。
(自分の年齢のことも考え)そろそろ手持ちのパーツ類の整理をやり始めたら、初期の
TTL-IC (74LS192 等)が出てきました。あまり使ったことがなかったものの、捨てる前に何か
いたずらしてみようと考え、最も初歩的な「分周」をやってみることにしました。
使い方等はすっかり忘れているので、「実用電子回路ハンドブック」を取り出しブレッド
ボード上に組んでみれば少しは思い出すだろうと考え、回路を探し始めました。ところが、
基本的な論理についてはなんとか理解できるのですが、"PRESET"と"CLEAR"端子の使い方が
分かりません。しばらく悩んで友人に聞いたところ、これらの端子を利用しないで分周できる
とのことでした。
それではと言うことで、5,120kHzのX-talを発振させ、分周して行き160kHzを過ぎ80kHz迄行
きましたが、私のトランシーバ (JST-245) では受信できなくなります。もっともオシロで見れば
済むことですのであまり問題にはなりません。
100kHz より下では、JJY が 40kHz で電波を出していたことを思いだしました。分周して得ら
れた80kHz の信号と JJY(40kHz) とで 120kHz が得られるので、JJY を受信できそうです。また、
80kHzの矩形波も fc が100kHz程の LC-LPF を通すと角が気にならない波形になるようです。
ところが、私の思い込み(JJY は実際に小さな時計でも受信できているのだから、信号強度も
かなりのものだろう)もあり、あれこれ試したものの受信できるまでには至りませんでした。
0-1.はじめに(その2)
JJY(40kHz)を120kHzに変換して受信することに失敗したのには、LF帯での測定器不足もあるの
ではないかと思い、HF帯へ周波数変換を行なうことにしました。HF帯であれば手持ちの測定器
が利用できるからです。
ところが、ミクサーの直前にバーアンテナとキャパシタを組み合わせた 40kHz の同調回路を置
き、2.5MHzの局発とミックスさせても JJY(40kHz)の信号が受信できません。そこで、DDSで40kHz
を発振させてその信号をバーアンテナに接続すると受信が可能です。ここでやっと JJYの信号があ
まり強くないことに気が付いたしだいです。
1.クリコンの回路
簡単に受信できると思っていたのに最初で躓いてしまいましたので、RF増幅を一段追加するこ
とにしました。なお、40kHzの同調回路はRF増幅部の頭だけにしてあります。
1)一般的なクリコンの回路ですが、40kHzの同調回路について若干説明します。
コイルについては何を使おうか考えたのですが、市販の中波用受信コイル(AR-55X)のインダクタン
スが600μHと他のものに比べて大きかったのでこれを使うことにしました。
このコイルのインダクタンスで 40kHzに同調させるためのコンデンサ容量は、C = 1/(ω^2 x L)
から計算すると 0.02638μF 程になります。手持ちのセラミックコンデンサから次のものを選ぶとと
もに、昔使った3連バリコンを組み合わせて最終的なコンデンサの組み合わせを決めることにしま
した。
A.:0.022μF, B:0.002μF x 2, C:VC(max:1290pF)
同調回路にDDSから 40kHzを加え、3連VCを可変してオシロで最大振幅になるところを探します。
ただ周波数が低く、コンデンサの容量が大きいので、L : 600μH と組み合わせるコンデンサ容量を
C1 : 0.026μF とすると f ≒ 40.3kHz、C2 : 0.027μF とすると f ≒ 39.5kHz となり 0.001μF(1000pF) 変化
しても 800Hz 程しか変化しません。つまり3連VC(max:1290pF)を変化させてもオシロで見る振幅の
変化はかなりブロードとなってしまいます。
それゆえ3連VCでキャパシティの概略が分ったらちょっと少なめの固定Cをパラに追加します。
そして2連VCにして同じことをやり、さらに単(連)VCでも同じことをやって固定C(今回は 1,220pF)
に辿りつきました。実際は 0.001μF と 220pF となり、合計のキャパシティは 0.02722μF となりまし
た。計算上からは 39.38kHz程になるようですが、コイルの規格にも 600μH ± 20μH とあり、またコ
ンデンサも表示と実際の値には差がありますので、こんなものかなと思っています。
2)RF増幅、ミクサー、局発の各回路
RF増幅は FET による何の変哲もないものです。局発は無調整の発振回路で BTR のエミッタから
2.5MHz を取り出しています。そして、ミクサーは局発を FET のソースに入れていますので、10pF
のトリマーで入力レベルを調整できるようにしてあります。また、ミクサーのドレインには FCZ-1R9
に 220pF を抱かせて 2,460kHz に同調させています。
2.まとめ
かなり手こずりましたが、なんとか JJY(40kHz) 受信用のクリコンができあがりました。プラケース
に入れたクリコンと調整に使った3連VC の写真は以下の通りです。
そして、信号は弱いものの、トンツーで "JJY JJY" と何十年かぶりに聞くことができました。
また、総務省のホームページにありますが、JJY は「タイムコードの送信テーブル」に沿って送信
されているようで、それを利用できるようなものを作るのはまだまだ先になりそうです。
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