0.はじめに
シングル・トーン発振器としては以前トラ技の増刊の「ディジタル周波数シンセサイザ
基板[DDS搭載]」を使って作ったことがありましたが、SSB等の送信機を調整するに
は"2-tone-oscillator"(2-t-OSC)を利用すべきだと聞いていました。
友人から借用した"2-t-OSC"の波形をオシロで見たらちょっと歪みがあるようなので、
もう少しサイン波に近づけないかな等と考え製作を試みました。
1.発振回路の選定
どんな回路を使おうかと考えて色々と探したところ、ツインT回路で発振させられるこ
とが分かりましたが、意外と資料が少ないような感じがしました。どうも(当然ながら?)
発振回路としてではなくフィルタ回路としての方が有名なようです。
ちょうど"トラ技SPECIALの2017年夏号"の「実践式!トランジスタ回路の読み解き方
&組合せ方入門」の中に「(ツインT形フィルタとトランジスタ1個で作れる)1kHzテス
ト用正弦波発振器」が紹介されているのを見つけました。
さっそく、これを参考にして製作することにしました。
いつもの事ですが、手持ちのパーツを利活用することにしているので、C・R等の値は
適当に決めています。
作成した回路は以下の通りです。
なお、発振周波数はLPFとHPFのCとRをある一定の条件で設定すれば、f=1/(2πRC)に
なると言われていますが、"トラ技SPECIAL"の記事ではその条件に増幅率が入っています。
2.回路の説明
それでは簡単に回路の説明をしたいと思います。
まず"2-t-OSC"の場合、低い方の発振周波数(fL)の整数倍にならないように高い方の
発振周波数(fH)を設定しなければならないので、抵抗(8.2kΩ)は固定としコンデンサ
(発振回路はフィルムコンデンサを使用)を整数倍にならない値としています。
つまり、fHの発振回路で説明すると、"8.2kΩ、0.022μF、8.2kΩ"がLPFであり、"0.01μF、
10kΩ-VR、0.01μF"がHPFとなります。HPFのRをボリューム(VR)としていますが、当初
設定した固定抵抗では発振しなかったので、発振を確実にするためRをVRとしています。
結果として、後で歪が少ない波形を得るために役立ちました。
また、Tr1(2SC1815)のベースには直列に2.2kΩが入っており、歪低減用のRとしています
が、当初"トラ技SPECIAL"の記事の通りに12KΩとしたところ発振しなかったのでこの値と
なっています。
このTr1で発振させ、Tr2(2SA1015)をエミッタフォロワのバッファとして使っています。
また同様に、fLの発振回路も"8.2kΩ、0.066μF、8.2kΩ"のLPF、"0.033μF、10kΩ-VR、
0.033μF"のHPFで構成しています。
この後、2信号(fHとfL)を一緒にし、さらにTr5(2SC1815)のバッファを通して出力し
ています。
3.出力波の歪の低減
当初、エミッタフォロワのTr2とTr4(2SA1015)のエミッタ抵抗を470Ω、Tr5のエミッタ
抵抗を500Ω(VR)としていたのですが、Tr5の出力に接続する負荷のインピーダンスが低い
(32Ω、あるいは16Ω)と歪が多くなることから、330Ωをパラに入れて約200ΩとしTr5のエ
ミッタ電流(≒コレクタ電流)を多くして、負荷インピーダンスが低い場合でも歪を極力少な
くしています。
逆にTr2とTr4の負荷は数kΩと高いため、エミッタ抵抗は1.1kΩで十分のようです。
また、HPFの所に入れた10kΩ-VRですが、このVRを調整することによって発振周波数を変
化させることが可能です。ただ、抵抗値を下げ発振周波数を上げて行くと歪が大きくなりま
す。そのため、VRは発振を維持する最低周波数よりほんの少しだけ上のところにセットし、
歪を最小(オシロで見て歪が分からない程度)としています。この時のVRの値は、fLで約
2.1kΩ、fHで約1.9kΩとなりました。
なお、発振周波数(fL、fH)を前述の「ディジタル周波数シンセサイザ基板[DDS搭載]」
を使った発信器とビートをとって比較したところ、fL=792Hz、fH=2,264Hzとなりました。
ただ、792Hzx3=2376Hz となりfHと112Hzしか離れていないので、もう少し離れた周波
数関係にした方が良いかも知れません。
なお、"2-t-OSC"は以下(写真)のように組んであります。
手前左から「電源SW」「パイロットランプ」「出力ボリューム」、そして奥の左から「fL
レベル調整ボリューム」「fHレベル調整ボリューム」「出力ジャック」となっています。
fLとfHの出力をオシロで見てみると、最大出力レベルは、560Ωの負荷で約340mV(p-p)、
56Ωの負荷で約250mV(p-p)となりましたが、どちらの場合もfLの出力レベルが若干低いよう
です。これはカップリング・コンデンサが影響していると思われます。
シングル・トーン発振器としては以前トラ技の増刊の「ディジタル周波数シンセサイザ
基板[DDS搭載]」を使って作ったことがありましたが、SSB等の送信機を調整するに
は"2-tone-oscillator"(2-t-OSC)を利用すべきだと聞いていました。
友人から借用した"2-t-OSC"の波形をオシロで見たらちょっと歪みがあるようなので、
もう少しサイン波に近づけないかな等と考え製作を試みました。
1.発振回路の選定
どんな回路を使おうかと考えて色々と探したところ、ツインT回路で発振させられるこ
とが分かりましたが、意外と資料が少ないような感じがしました。どうも(当然ながら?)
発振回路としてではなくフィルタ回路としての方が有名なようです。
ちょうど"トラ技SPECIALの2017年夏号"の「実践式!トランジスタ回路の読み解き方
&組合せ方入門」の中に「(ツインT形フィルタとトランジスタ1個で作れる)1kHzテス
ト用正弦波発振器」が紹介されているのを見つけました。
さっそく、これを参考にして製作することにしました。
いつもの事ですが、手持ちのパーツを利活用することにしているので、C・R等の値は
適当に決めています。
作成した回路は以下の通りです。
なお、発振周波数はLPFとHPFのCとRをある一定の条件で設定すれば、f=1/(2πRC)に
なると言われていますが、"トラ技SPECIAL"の記事ではその条件に増幅率が入っています。
2.回路の説明
それでは簡単に回路の説明をしたいと思います。
まず"2-t-OSC"の場合、低い方の発振周波数(fL)の整数倍にならないように高い方の
発振周波数(fH)を設定しなければならないので、抵抗(8.2kΩ)は固定としコンデンサ
(発振回路はフィルムコンデンサを使用)を整数倍にならない値としています。
つまり、fHの発振回路で説明すると、"8.2kΩ、0.022μF、8.2kΩ"がLPFであり、"0.01μF、
10kΩ-VR、0.01μF"がHPFとなります。HPFのRをボリューム(VR)としていますが、当初
設定した固定抵抗では発振しなかったので、発振を確実にするためRをVRとしています。
結果として、後で歪が少ない波形を得るために役立ちました。
また、Tr1(2SC1815)のベースには直列に2.2kΩが入っており、歪低減用のRとしています
が、当初"トラ技SPECIAL"の記事の通りに12KΩとしたところ発振しなかったのでこの値と
なっています。
このTr1で発振させ、Tr2(2SA1015)をエミッタフォロワのバッファとして使っています。
また同様に、fLの発振回路も"8.2kΩ、0.066μF、8.2kΩ"のLPF、"0.033μF、10kΩ-VR、
0.033μF"のHPFで構成しています。
この後、2信号(fHとfL)を一緒にし、さらにTr5(2SC1815)のバッファを通して出力し
ています。
3.出力波の歪の低減
当初、エミッタフォロワのTr2とTr4(2SA1015)のエミッタ抵抗を470Ω、Tr5のエミッタ
抵抗を500Ω(VR)としていたのですが、Tr5の出力に接続する負荷のインピーダンスが低い
(32Ω、あるいは16Ω)と歪が多くなることから、330Ωをパラに入れて約200ΩとしTr5のエ
ミッタ電流(≒コレクタ電流)を多くして、負荷インピーダンスが低い場合でも歪を極力少な
くしています。
逆にTr2とTr4の負荷は数kΩと高いため、エミッタ抵抗は1.1kΩで十分のようです。
また、HPFの所に入れた10kΩ-VRですが、このVRを調整することによって発振周波数を変
化させることが可能です。ただ、抵抗値を下げ発振周波数を上げて行くと歪が大きくなりま
す。そのため、VRは発振を維持する最低周波数よりほんの少しだけ上のところにセットし、
歪を最小(オシロで見て歪が分からない程度)としています。この時のVRの値は、fLで約
2.1kΩ、fHで約1.9kΩとなりました。
なお、発振周波数(fL、fH)を前述の「ディジタル周波数シンセサイザ基板[DDS搭載]」
を使った発信器とビートをとって比較したところ、fL=792Hz、fH=2,264Hzとなりました。
ただ、792Hzx3=2376Hz となりfHと112Hzしか離れていないので、もう少し離れた周波
数関係にした方が良いかも知れません。
なお、"2-t-OSC"は以下(写真)のように組んであります。
手前左から「電源SW」「パイロットランプ」「出力ボリューム」、そして奥の左から「fL
レベル調整ボリューム」「fHレベル調整ボリューム」「出力ジャック」となっています。
fLとfHの出力をオシロで見てみると、最大出力レベルは、560Ωの負荷で約340mV(p-p)、
56Ωの負荷で約250mV(p-p)となりましたが、どちらの場合もfLの出力レベルが若干低いよう
です。これはカップリング・コンデンサが影響していると思われます。
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