冷え込み厳しい福富の夜。湯船につかってだらしなく弛緩していると、ピンポーンと向こうで呼び鈴が鳴る。
アマゾンで注文した中古本が届いたのか。けど、温かいお湯から出て、体をふき、着替えて、極寒の廊下を歩いて玄関へ出る気になれない。
(郵便受けに投げこんどいてくれたらいいのに…)
呼び鈴が鳴ったのは一回きり。ホッとする。
風呂から上ると、スマホにLINEの着信とメッセージがある。ご近所さんからだ。
「もらいもののイチゴを、郵便受けに入れときますね」
なんと!
条件反射的に、あわてて半裸でLINEを折り返す。
「すみません、風呂入ってました」
「だと思った。イチゴ、見た?」
えっ、まだ…。
条件反射的にスマホ片手に半裸で玄関へ急ぎ、外の郵便受けをのぞく。ゲキ寒っ! だが、小箱に入った大きなイチゴにコーフンする。
イチゴの産地で暮らす県外の親せきが近所の農家からもらい、ご近所さんにおすそ分けで送られてきたらしい。そのさらに〝ひ孫分け″をいただいた。
ストーブに当たりながらほおばる風呂上りのイチゴは、しみじみうまかった。