福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

稲刈り その後に

2019-10-29 23:00:54 | 日記
 今日も日中はじりじり日焼けするほどの日差し。知り合いの農家さんたちは「寒い時期にはちゃんと寒くならんと、いけんのんよ」と口々にこぼす。寒さが苦手、いや、むしろガツンとした暑さを愛してベトナムや沖縄にどっぷりと浸かってきた隊員としては、山里のギラギラ太陽に全身の細胞がコーフンする。
 わが家のそばの田んぼでも、先日みんなで刈り終えた稲たちが「はぜ干し」台で満足そうに日光を浴びている。刈ったときは青みが残っていた稲たちも、もうすっかり藁色に。稲穂を手でさすると、台風による倒壊にも負けず、米が実っているっぽい稲も多いことを感じる。
 もうしばらく天日干しした後は、脱穀だ。田んぼの持ち主である、わが家のマッチョ大家さんの倉庫には、使い古した足踏みの脱穀機が残っている。社会の教科書にあった「江戸時代の農業」のイラストに載っていそうな脱穀装置も。
 こういうの使ってやってみたいな、と企てる隊員。こないだ、さりげなく農家さんたちに話すと、「脱穀機は危ないんで! 無理無理」と口々に言われた。でも、でっかい機械でガーッと脱穀するのを鼻ほじりながら眺めてても萌えないなぁ。
 そういえば今日、オフィスで市の男性職員さんがあちこち電話をしていた。「学校での脱穀は来月〇〇日になりましたので、お願いしますぅ」。児童たちの体験稲作の脱穀が行われるようだ。
 お、子どもが脱穀やるんだ! それと同じやり方なら、わが田んぼでも農家さんの「無理無理」ブロックをかいくぐって、アナログ脱穀ができるのではないか! よし、リサーチだ。

しっぽ

2019-10-26 23:14:27 | 日記
 上の息子の学校行事のため、広島で1日余りを過ごした。日曜の仕事に備えて夜、福富町へと戻る。出発ギリギリまで下の子とサッカー対決し、アクセルを踏む脚は棒のよう。
 早朝、あるいは夜中の福富―広島間のドライブは、もう何度目だろうか。一般道を走る1時間ほどの道中は、隊員の新たな「好みの時間」になった。CDに合わせてシャウトしたり、ラジオのおしゃべりにツッコミを入れたり、鼻くそほじりながら考えを巡らせたり。
 今夜は大好きなスピッツの新譜をオン。広島の家を出てすぐ、国道2号線の渋滞にはまる。

 無数の営みのライトが瞬き もどかしい加速を知る
 速く速く 流線型のあいつより速く
 すすけてる森の向こうまで
 (スピッツ「快速」)

 マイカーは毎日、明るく機械的な声で前の日の燃費を教えてくれる。アラフォー隊員として福富町に赴いて以来、マイカーはすこぶる気持ちよさそう。杓子定規な信号機も、運命を他人に委ねるしかない渋滞もなし。エンジン能力全開で走り続けられるからか、「リッター12・4キロです」と、広島市内で乗るときの倍ほどのエコドライブぶりを発揮してくれる。
 隊員は、来年度の活動、休眠記者としての身分、人間としての暮らし…などについていったん方向性を決めなければならないタイミング。そのため最近、話したい人、できれば話したくない人と、なんだかんだ話す機会が多い。

 ほらね曲がった僕のしっぽが本音語るんだ
 旅することでやっとこさ自分になれる
 うち捨てられた船に つぎはぎした帆を立てて
 今 岸を離れていくよ
 (スピッツ「まがった僕のしっぽ」)

 広島市内を抜けると、渋滞の車は少しずつ減っていく。バイパスの分岐点をひとつ、またひとつ過ぎるにつれて、さらに車は少なくなる。渋滞でエンジンを持て余し、無駄なガソリンを消費していたマイカーも、少しずつ気分いい走りにシフトする。
 幹線道路を外れる最後の分かれ道を越えると、あとは後続車もほぼいない暗闇の世界。さっきまでの渋滞の車列では、「ちっ。邪魔だな、この車」といらついていたが、暗い山道でひょっこりと対向車が現れると、「どもっ! こんな寂しい道をご苦労様です。お気を付けて!」と、勝手に「旅は道連れ」モードの気分になる。
 CDを替えながら鼻くそほじって考えてるうちに、ドライブも終わりが近づく。

 僕らは何も あきらめなくていいんだ
 やりたいことは全部できるんだ
 どちらかを選ぶとか何かを犠牲にするとか
 そんなの本当に間違ってるんだ
 すべてを少しずつ全部やるんだ
 そうさ何一つ欠けちゃダメなんだ
 Hey baby Blue 夜が明けるよ
 (YO-KING「バランス」)

 ふむ、バランス。

みなさんのおかげです 稲刈り編

2019-10-23 09:42:46 | 日記
 「こども農園」づくりに向けた田んぼ作戦が決行された。舞台は、わが家のすぐそばの田んぼ。大雨と台風で倒れた稲をボランティアのみんなと刈り、天日で乾かす「はぜ干し」にした。
 妄想1カ月、構想3日。農家さんのOKをもらってから流れと勢いでの急きょの実施だったが、「即位の礼」もどこ吹く風。地元の農家さんや職人さん、大家さん、大学生、隊員の友人、友人の友人…たち20人以上が東広島市内外から集まってくれた。

 
 農家さんの指導の下、大人はひたすら鎌キリ男、鎌キリ女に。大きな子どもたちも作業の実戦部隊に加わり、小さな子どもたちは周りできゃっきゃっと駆け回る。幼い子はギャンギャン泣く。
 「子どもさんがおるだけで元気になるねえ」と農家じいちゃんがにっこり。しなやかに鎌を振るう女性たちの姿も、シカとイノシシとお年寄りだらけの過疎の田んぼに華やかさを与えてくれる。「農家のじいちゃん&アラフォーおっさん隊員だけで刈ってたら、精神的にめいるな」としみじみ思う。
 第一ラウンドの稲刈りは、1時間半で完了。農家さんのレース予想を大きく上回るペースで進んだ。

 
 秋空の下でランチタイム。農家の奥さんが作ってくれた、取れたて野菜たっぷりの豚汁と新米おにぎりを味わった。地元の豆腐職人さんから揚げ出し豆腐、田んぼのお隣さんから手焼きのナッツ菓子、ボランティア参加者の方から柿ジャムのパウンドケーキ、隊員の家族から卵焼きとウインナー。たくさんの差し入れも届いた。初対面の人同士、話に花を咲かせてあっという間に1時間が過ぎる。
 ふう。腹がいっぱいになると、すっかり一日終わった気分になる。「急がんでもええでしょう、ふうっ」。缶ビール片手に農家さんの一人がトロンとした目で言う。やばい。完全にくつろぎモードに入っている。「いや、もうやりましょう! 明日に持ち越すわけにいきませんっ」。ミヒャエル・エンデ「モモ」の「灰色の男」並に時間を奪われた思考が染みつく隊員は、無粋に宴を畳む。

 
 第二ラウンドは「はぜ干し」だ。農家さんの見よう見まねで、刈り取った稲の束を藁でキュキュッとしばる。腐っていた一部はより分けて、「火葬の礼」に伏す。みんなすごい手際の良さ。はぜ干し台も次々に増設され、1時間余りで見事に完了した。今朝方まで無念そうにぺったりと討ち死にしてた稲たちは、ずらりと並んで秋の日差しを受けて息を吹き返していた(ように見えた)。

 野良仕事ド素人の隊員の懲りない発作的呼び掛けに応じていただいたみなさん、この場も借りて、ありがとうございました! 妄想中の「こども農園」活動の一環での米作りに、ここから何とかつなげていきたいと思います。
 ついでに宣伝。稲が乾いたら脱穀もありますぅ。

田んぼ作戦 決行へ

2019-10-20 23:56:30 | 日記
 わが家の隣の田んぼを借りて米作りをしたい、ともくろんでいることを先日ブログで書いた。大雨で稲がすべてぺったんこに倒れてしまっている田んぼだ。
 関係者の農家さんたちやオーナーさんにとにかく懇願したところ、急きょ動きだせることになった。22日の祝日、倒れた稲を鎌で手刈りするのだ。
約500平方メートルの田んぼ。手刈りだからマンパワーが命となる。話がバタバタ急展開したので、バイトが辞めたそば屋並みにヘルプを「急募」した。
 地元や広島から手助けに来てくれそうな人は、生粋の素人。なにより隊員がきっぱりとド素人だ。人海戦術あるのみ。指導役の農家さんたちと相談の結果、刈った稲は天日干しすることにした。そのための土台づくりも当日、みんなでする。
「ちょっと、資材を見とこう」と農家さんの一人がお試しで作ってくれたミニ土台がかわいい! ド素人の分際をあっさりと忘れ、もうすっかり刈り終えた気分に浸った。
 手刈り会の旨を地元の知人に伝えると、「え、あの田んぼ!? 思ってる以上に大変よ~」「知らないがゆえの無謀なチャレンジだね。むふふ」とほくそ笑まれた。ひぃ。
でも、NHK教育テレビ「いってみよう、やってみよう」で育った隊員。とりあえず走り出すクセは、アラフォーになっても治らない(今で言う「特別支援教育」の番組とは当時、知らなかった)。
天気、崩れないでね。

イモコン惜敗

2019-10-20 07:07:38 | 日記
 数年来通っている広島市内でのイモ掘り&稲刈りイベントに赴いた。今回は下の息子と姪っ子を連れての3人での参加。5月に植えた鳴門金時と稲を、ひたすら掘って刈った。
 息子たちのお楽しみは「イモ掘りコンテスト」。掘り当てたでっかいサツマイモの重さを競うだけだが、子どもたちのモチベーションをマックスに高めてくれる。毎年、「これ、ぜったい入賞じゃろ!」と鼻息荒く畑からイモを掲げてコンテストに臨むが、惨敗を繰り返してきた。
 ことしは、息子が巨大サツマイモをゲット!(まぁ、係員の地元のおっさんから「ぼく、これ持ってけ! 入賞じゃ」ともらったのだけど)。目方を量ると、1440グラム。かなりでかい。3人でだいぶ期待してコンテストに臨んだ。結果、40グラム差で5位までの入賞に届かず! ちなみに、優勝は2500グラムのバケモノイモだった。何人分のイモ天ぷらになるんだろうか。
 地元おっさんに聞くと、イモは苗のツルを垂直方向に植えるやり方と、水平方向に植えるやり方があり、「縦植え」はイモの数は少ないが1個1個が大きく育つのだという。へえー。
 息子も姪っ子もドでかいイモ&山分けのイモに大満足。稲刈りも、キャッキャと楽しそうに鎌を振るったり、天日で干す「はぜ掛け」の台に見よう見まねで稲穂を掛けたりしていた。
 この地元グループのイベント。毎年、やることはシンプルだけど楽しい。アフリカ音楽や伝統芸能が披露されるときもあり、焼き芋と新米おにぎりもたっぷりと味わわせてもらえる。田畑のイベント、いいね!