①抜かれた要石、解き放たれたミミズ
②宮崎から東京への旅
③あの時の記憶
岩戸鈴芽:
天岩戸(あまのいわと)伝説に由来する。
天界「高天原(たかまがはら)」を任された天照大神(あまてらすおおみかみ)が弟スサノオのすさまじい荒ぶり方にショックを受けて、天岩戸(あまのいわと)に引きこもってしまうというエピソード。
太陽の神でもある天照大神が岩戸に引きこもってしまったので、世界が闇に包まれ、魑魅魍魎が満ちてあらゆる災いが一斉に発生した。
なんとなく、ミミズの設定と重なる。
鈴芽(スズメ)は、「アメノウズメ」がモデルになっている。
アメノウズメは、天岩戸(あまのいわと)に引きこもってしまった天照大神(あまてらすおおみかみ)を引きずり出した女神。
岩戸の前で、裸踊りなどといったお祭り騒ぎをすることで、「私、岩戸の中におるのに何でこんなに外盛り上がってん?」ズズズー!と岩戸から誘い出すことに成功した。
岩戸は文字通り、物語のテーマでもある「戸」を意味している。
その開け閉めが、世界に影響を及ぼす力を持っている。
アメノウズメは戸を「開ける」神様。
戸締りとは真逆。
鈴芽は、最初こそ廃墟の扉を開けているが、それ以降は閉めることに専念している。
ここには、新海誠監督の深い意図が隠されていそうである。
宗像草太:
宗像はむなかたと読む。
宗像と言えば、日本神話に登場する宗像三女神(むなかたさんじょしん)。
宗像三女神は、姉である天照大神(あまてらすおおみかみ)と弟スサノオがけんかをした時に、スサノオの剣から生まれた三姉妹。、(兄弟げんかで子作りのエピソード…)
タキリヒメ、タキツヒメ、イチキシマヒメの3女神。
宗像三女神は、宗像大社の御祭神になっている。
あらゆる「道」の最高神とされている。
交通安全の神様としても有名。
スズメの戸締りは、全国を西から東へ旅するロードムービーであると新海誠監督は言う。
道の物語に鈴芽の相棒として、交通安全の神を据えた。
宗像三女神のイチキシマヒメは瀬織津姫(せおりつひめ)と同一視されている。
(ちなみに、「君の名は」の主人公ミツハは、ミツハノメがモデルになっているが、ミツハノメも瀬織津姫と同じ神様だと言われている。)
鈴芽と草太が宮崎を出て、最初にたどり着いた愛媛で出会う女の子の名字が海部(あまべ)。
神武天皇以前の古代王朝を立ち上げたのは、海部氏一族だったのではないかと言われている。
神武天皇以前の古代神様が落ち延び、逃れてきたのが「四国」と言われており、「四国」と「海部」の組み合わせにはなにか意味がありそうである。
元伊勢と言われる「籠神社(このじんじゃ)」の宮司を務める一族も「海部」さん。
籠神社では、ニギハヤヒ(鶴)と大国主(亀)が祀られている。かごめは籠神社。籠神社の後ろは眞名井神社。眞名井神社で祀られているのはツクヨミ。
アマテラスとスサノオとツクヨミは、三貴子と呼ばれるが、ここで3人出揃う。
籠目伝説。後ろの正面はツクヨミだった!?参照
海部さんは、最近、「海部氏系図(あまべうじけいず)」という、とんでもない国宝を、しれっと世に公開した。
それによると、海部氏の初代王様は、ニギハヤヒと呼ばれる神様であり、その妻がイチキシマヒメであることが分かった。
また、宗像家は出雲王家の分家だと考えられていて、ここでも、宗像家のイチキシマヒメはニギハヤヒと結婚したと記されていることが分かった。
瀬織津姫は秘匿された神様であったが、宗像家も隠された氏族だった。
草太の家は代々閉じ師ということだが、ルーツはとんでもない家系なのかもしれない。
(なのに劇中ほとんど椅子?)