世界最古のシュメール神話では、蛇神エンキと牛神エンリルの対立が描かれており、それが世界中に派生したと考えられる。
蛇vs雄牛の構図は、ユダヤ人が作った旧約聖書の時代にまで続く。
唯一神ヤハウェは、元は雄牛をシンボルとするエンリルだった。
対立する蛇が悪者として描かれるのは、シュメール神話の名残り。
そのおおもとになってくる神様の名前が、シュメール神話やギルガメッシュ叙事詩にも登場する女神イナンナ。
女神イナンナは金星を司り、愛と性や戦い、豊穣の女神と言われており、シュメール神話の中でもかなり長尺で登場する神様。
イナンナは、天の女主人を意味する。
シュメール文明の起点と言える時代はウルク期。
シュメールの歴代の王の名前が並ぶシュメール王名表によると、ウルク第一王朝の最初の王様の名前は、メスキアッガシェル。
シュメール王名表には、メスキアッガシェルがウルクを建設したと書かれている。
メスキアッガシェルの4代後の王がギルガメッシュとも書かれている。
ギルガメッシュ叙事詩でも、ギルガメッシュがウルクの王だと記されている。
ギルガメッシュ王は、このメスキアッガシェルが立ち上げたウルク王朝の流れを汲む王様だった。
ギルガメッシュ叙事詩の原型となるお話は、今から4000~5000年前に作られたと言われる。
それよりも前にメスキアッガシェルが王朝を立ち上げているので、ウルクはかなり古い都市。
ウルクはかつてエアンナと呼ばれていた。
エアンナは、女神イナンナに捧げられた神殿の名前とされている。
女神イナンナ信仰が中心の時代であった。
女神イナンナを祀っていたエアンナという都市が、メスキアッガシェルに征服されてウルクと呼ばれるようになった。
ギルガメッシュ叙事詩の中では、イナンナはめちゃくちゃな暴れ馬として登場する。
征服した王朝が前の王朝のことを歪めて描写することで、歴史の真実が書き換えられる。
ウルク時代にもイナンナ信仰は根強く残ってて、支配者層がそれをねじ伏せるために作られたエピソードと思われる。
ウルク第一王朝より一つ前のキシュ第一王朝について。
ウルク時代よりさらに遡るのでかなり古い時代。
エンメバラゲシという王が、エラムという土地を征服して、中心的都市「スサ」に君臨していた。
「スサ」はスサノオのスサ。
エンメバラゲシはスサノオのこと。
エラムと言う土地は、女神信仰が優位な土地。
かつて蛇の崇拝をしていた土地。
エラムは東の地と言う意味。
エラムの最高神はピニキルという女神。
ピニキルは天の女王を意味し、愛と性、戦いの神だと言われていて、イナンナの特徴と全く一緒。
最初は蛇を重視する女神信仰だったエラムだが、徐々に雄牛をシンボルとする男性神が台頭してきた経緯があった。