中国で古来より作られていたお菓子、麻花兒(マファール)。
日本へは戦国時代後期に、帰化人によって長崎に伝わったとされ、
以来、長崎の舶来の伝統菓子として、カステラなどと共に親しまれてきた。
小麦粉と砂糖、揚げ油のみというシンプルな素材だけで調理されながら、
なんともいえないノスタルジックな風味と、
その独特な形状によって生じる、これまた独特な食感によって、
一度食べたら忘れられないお菓子となる。
右:福建のよりより
左:蘇州の麻花兒
この二品は福岡でも購入できる。
おそらく最も広く販売されている二種だと思う。
長崎では主に中華街にある飲食店などで製造・販売されているが、
それ以外にも製造メーカーが複数あり、本場中国での名称でもある、
麻花兒という名ではなく、単に“麻花(マーファ)”という名で売られていたり、
“麻花巻”とか、“唐人巻”とか、いろんな名で販売されている。
なかには、“よりより”とか、完全に日本語に寄せた商品名のものもある。
メーカーによって油っこさや堅さ、大きさなどまちまち。
ただし、シンプルゆえに味はほとんど差異がない。
“よりより”の名が示すとおり、練った小麦粉に砂糖を加えた生地を、
細長く伸ばして、ねじり(より)ながら編み込んで束を作る。
その束の形のまま油で揚げる。
こうして独特の形状をした、かりんとうのようなお菓子が出来上がる。
カリッとした食感だが、この形状のせいで口の中で複雑に割れて、わりと食べにくい。
大きめにかじり付いて、中でいびつに割れてしまっうと、口内を怪我することも。
食感はかりんとうに近いけれど、味はドーナツやサーターアンダギーのよう。
本場中国の露店や中華街の飲食店などで売られているものは、
揚げたあとに粉砂糖をまぶすこともあるようで、
それだと、よりドーナツなどに近い味になりそうだ。
“よりより”はそのまんま、なので名前の由来は解るけれど、
“麻花”と呼ばれるのはどうしてなのか?
麻の花に似ているのか?
確かに麻の花は、綿のような小花がモコモコと付いて、束のように見えなくもないが・・・。
花よりも、麻糸の束にそっくりなので、そっちが名前の由来ではないかと思う。
蘇州さんの麻花兒(左)と、福建さんのよりより(右)。
長崎みやげとして、長崎県やお隣の佐賀県などで購入することができるが、
福岡だと大きめのスーパーへ行けば、ふつうに置いてあることも。
また、長崎と同じく、古くから中国文化が伝わって、
中華街もある神奈川県でも、麻花兒が製造・販売されているらしい。
シンプルだけど、妙に印象に残る味と食感。
商品によっては、多少、油っこく感じてしまうが、それは揚げ物の宿命と思うべし。
長崎みやげ、カステラやびわゼリーもいいけれど、
こういったものも珍しがられていいかも。
蘇州さんのパッケージには、クラシックなチャイナ女子のイラスト。
福建さんのパッケージには・・・この鼓笛隊?は見たことあるぞ。
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