よろず戯言

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蒲焼さん太郎

2011-09-08 02:06:33 | グルメ

子供の頃、近所に数軒、駄菓子屋があった。

どの店も老夫婦、若しくはバアちゃんがひとりでやっていて、

学校が終わり帰宅してのち、その日のお小遣いを握りしめ駄菓子屋へ走った。

 

近所の友達と、「きょうは**みせに いこうや!」などと言って、

その日の気分で行く駄菓子屋が決まる。

生活用品や他の食料品も売ってあり、

近所にスーパーができる前までは、よくお使いにも行かされた一番近いH店。

その先にある、かなり高齢のおばあちゃんがひとりでやっていたOB店。

自転車でないと辛いが、くじ商品が豊富な親戚のおばちゃんがやっていたON店。

さらにその先にある、ゲーム機もあって品揃えも豊富だが、店のババアが愛想のない江田店。

どの店もとうの昔になくなってしまい、江田店の糞ババア以外、みんな亡くなってしまった。

 

駄菓子屋は心躍る場所だった。

50円で、どんなおやつを買おうか、すごく悩んだ。

でもその悩む時間がとてつもなく楽しかった。

あめ玉,ガム,スナック,チョコレート,粉ジュース,ラムネ,珍味,きなこ棒・・・。

何を食べるか迷う迷う。

 

さらに、メンコ(パッチンて呼んでた),ビー玉,かんしゃく玉,ボンド風船・・・。

プラモデルや手裏剣,古切手,古銭,消しゴムなどのくじ引きなんかもそろっている。

おやつを少し削って玩具を買うか・・・それもまた悩む悩む。

 

悩んでいると、江田店の糞ババアは常に鋭い視線で睨む。

まあ、この辺りでも一番ガラの悪い場所に立地し、

ゲーム機もあったから、中・高生の不良共もたむろしていたし、

ふだんから万引されていたのだろう。

 

買い終わると、みんなで集まってそれをむさぼる。

“当たり”が出たら、歓喜して店に舞い戻る。

食べ終わると、近所の公園や雑木林で、夕方5時までみっちり遊ぶ。

 

近所のひとつ年下の友達、ゴンス(自分が付けたあだ名・由来不明)は、

なぜか水が必要なお菓子(水で粉を溶き固め餅菓子を作るようなやつ)を購入してしまい、

用水路の水でそれを作って食べるという、子供ならではの荒技をやってのけた。

 

そんな幼い頃の思い出の詰まった駄菓子屋が、姿を変えて現在 増えてきている。

ショッピングモールやデパートなどの一角でテナントとして、駄菓子屋ができているのだ。

最近、子どもらを連れて、その“現代版駄菓子屋”へよく立ち寄る。

昔懐かしいものが未だに売られていて、思わずニヤニヤしてしまう。

子ども以上に、当時のように悩みはじめる。

 

社会人になり、自由に使えるお金を持っているものの、

大人買いなんて無粋なことはせず、やはり決めた金額の範囲内で選ぶ。

ふたりの子ども達にも、「100円まで!」と言い、自分たちで計算させながら選ばせる。

ふたりとも、同じ場所を行ったり来たり、

手に持っていた商品を戻したり、また手に取ったり、楽しく悩む。

時代が変わっても、世代が代わっても、駄菓子屋という空間は、子どもの心ときめく空間なようだ。

 

すっかり前置きが長くなってしまったが、

今回の記事は、自分が子供の頃に親しんだもので、

今だに販売されている駄菓子を紹介したい。

たくさんあるので、複数回に分けてやろうと思う。

 

最初は、菓道の“蒲焼さん太郎”。

 

Photo

右側真ん中が蒲焼さん太郎。

どれも昔と変わらない美味しさで感動した・・・。

わさびのり太郎は初めて食べたが、これもなかなか美味かった!

酢だこさんのパッケージはリアル過ぎだろ。

 

タラ(スケトウダラ)のすり身を乾燥させシート状にしたものへ、

蒲焼のタレで香ばしく味付けした珍味駄菓子。

一枚10円。

今も価格は変わらないが、大きさが2~3割ほど小さくなってしまっている。

最近はコンビニやスーパーでも売られている。

 

これが美味しくって、病みつきになる。

最初は蒲焼さん太郎と、焼肉さん太郎の2種のみだったが、

のし梅さん太郎(自分が子供の頃は“のし梅ちゃん”だったような・・・)、

酢だこさん太郎、ガーリックさん太郎(絶版?)とラインナップが増えていった。

最近は、わさびのり,焼肉カルビ,マヨネーズ,お好み焼きなど、更にラインナップが増えているようだ。

 

蒲焼,焼肉,ガーリックは固めでパリパリの食感だが、

のし梅と酢だこは、柔らかくしっとりしている。

どれも、本当に病みつきになる味。

袋を開けた瞬間にプーンと、食欲をそそる香りが鼻腔を襲う。

のし梅・酢だこは、ツーンと、梅と酢の酸っぱい香りが突き抜ける。

ムシャムシャとすぐに食べてしまわずに、

シワシワになるまでしゃぶって、タレとタラの旨味を堪能する者も居た。

  

この駄菓子、雑誌(たぶんファミ通)だったと思うのだが、

最も安くご飯を食べられる“おかず”として紹介されていた。

シート状のこれを ごはんの上に乗せ、

味付け海苔の要領で、箸で両端を抑えてごはんを包み、

海苔巻きならぬ、“**さん太郎巻き”にしてごはんを食べるというものだった。

たぶん美味しいのだろうが、やったことはない・・・。

 

このお菓子にひとつ欠点がある。

それは食べ終わった後の、袋である。

その美味いタレが、袋の内側にべったりと残る。

袋を裂いて内側をめくり出し、べろべろやったものだった。

 

ああ、いいなあ駄菓子。

また食べたくなった。

 

 


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