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ロウバイ

2015-02-26 01:08:03 | フラワー・園芸

まだまだ寒い冬のさなか、明るい黄色の花をつけ、

上品な芳香を漂わせる庭木、ロウバイChimonanthus praecox”。

漢字で書くと“蝋梅”となる。

花が蝋細工のようで、梅の花に姿が似ているからこう呼ばれる。

花の咲き方や枝ぶりが、確かに梅に似ていて咲く時期も重なれど、梅とは科が異なる。

梅はバラ科で、ロウバイはロウバイ科だ。
 

福岡県須恵町にて
 

古くはカラウメ(唐梅)とも呼ばれていたらしく、

これは中国から伝わった梅という意味で名付けられたようだ。

江戸時代に伝わって来て、以来、庭木として親しまれている。

早春に梅よりも早く黄色の花をつけるため、

運気のいい花として昔から好まれている。
 



福岡県直方市 ふくち山麓はな公園にて
 


土壌や日当たりなど、あまりうるさくなく、

病害虫にも比較的強いため、庭木として育てやすく、

剪定と肥料やりさえ怠らなければ、毎年きれいに花を咲かせることができる。

脇枝、特にひこばえが多いらしいので、

美しい樹姿を保つにはきちんとした剪定は欠かせない。

12月頃から園芸店に苗木が並びはじめる。

また切り花も12月頃から出回りはじめる。

生け花などの花材としても重宝され、正月の生け込みなどによく用いられる。
 

花器に生けたロウバイの切り枝
 


このロウバイの一番の特徴は、やはりその上品な芳香。

花が開き出すと、キンモクセイほどではないが、うっとりする強い芳香を放ち、

付近を通ると思わずその匂いで立ち止まってしまう。

梅が咲き始める頃、ロウバイはそろそろ花の時期が終わりを迎えるが、

それでもひと月ほど、開花期が被る。

梅も甘酸っぱい芳香を放つが、梅のそれよりもロウバイの香りの方が強い。
 


 

ロウバイの花のアップ。

色合い風合いが、確かに蝋細工のようだ。

左の写真:須恵町にて
 


実際、ふだん目にするロウバイのほとんどは、

“ソシンロウバイ”という品種で、純粋なロウバイではないらしい。

純粋なロウバイはもう少し黄色が薄く、花の中央部が赤紫色なのだとか。

色んな場所で撮ったロウバイの写真を見てみたが、

自分がこれまで見てきたものは、どれも全体が黄色なので、

おそらくすべてソシンロウバイなのだろう。
 

太宰府天満宮にて
 


 

ふくち山麓はな公園にて
 

福岡では、もうそろそろロウバイは終わり。

だいぶくたびれて、色褪せてきている。

あちこちで白,紅,ピンクの梅が咲き誇っている。

いち早く春の到来を教えてくれる庭木は、

これから梅,ジンチョウゲへバトンタッチし、さらにレンギョウ,ミツマタ,桃,桜へと続くのだ。

2月から5月までのこの時期、春の庭木の移ろいが最も楽しい時期である。
 

冬の里山の光景によく映える。

須恵町にて

 


※ひこばえ(孫生え/蘖):木の根元付近からにょきにょきと延びてくる脇枝のこと。

 伐採された切り株から延びてくるものも、ひこばえと呼ぶ。




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