よろず戯言

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吉田茂 迦玲

2018-04-09 22:39:41 | グルメ

あちこちで販売されている、“ご当地カレー”。

その土地々の特産品を使ってみたり、

観光地をイメージしたフレーバーにしてみたり、

ご当地キャラクターとコラボしてみたり、

基地などがある場所では、自衛隊や米軍などとコラボしてみたり。

全国様々な地域で色々と工夫したカレーが誕生している。

 

お隣の飯塚市で販売されているのが、“吉田茂迦玲”。

“迦玲”は、カレーの当て字。

吉田茂といえば戦後の日本復興に尽力した総理大臣。

それが福岡の飯塚に何の縁が?なんて思われるだろうが、

飯塚市出身の政治家、麻生太郎氏が吉田茂氏の孫にあたる。

 

 

消印がサンフランシスコになっているのは、平和条約締結にちなんでだろう。

 

吉田茂氏の三女が福岡の麻生家へと嫁いだとき、

その際、吉田家お付きのシェフも一緒に飯塚へやってきた。

そのシェフが、飯塚のとある食堂に伝授したカレーライス。

名宰相・吉田茂が愛した味のカレーが、飯塚の小さな食堂の看板メニューとなる。

このときのシェフとの約束で、以来、そのレシピを門外不出としてきたカレーライス。

そのカレーを、レトルト商品化したのが、この吉田茂 迦玲。

 

洒落た封緘シール。

 

地元のフリーペーパーの特集記事で、このカレーを知った。

ご当地カレーを食べ歩いたひとが厳選した、筑豊地区のカレー。

そのなかで、もっとも高評価だったのが、このカレーだった。

どんなものなのか食べてみたいと思っていたら、

先日たまたま立ち寄った、八木山峠にある産品売場でこれを発見。

さっそく購入して食べてみた。

 

紙箱のパッケージが多いなか、セピア色のシックな紙包み。

金色に輝く毛筆のパッケージロゴ。

エアメールを思わせる、スタンプや消印のデザイン。

背景はタイプライターに丸メガネの置かれた、昭和モダンなイメージの写真。

裏面の封緘シールは、食堂の洒落た刻印だ。

 

包装は竹皮包みのようになっていた。

 

封緘シールを剥がすと、竹皮包みのように開いて、

なかから銀色のアルミパックが出てきた。

レトルトカレーの袋だ。

驚くのは包装紙の内側。

達筆な毛筆で吉田家お付きのシェフと食堂との出会いや、

カレーのレシピ伝授のいきさつなど、この商品の概要が書かれ、

飯塚市内の古い地図と、吉田氏ゆかりの場所の案内などが詳しく掲載されている。

カレーを湯煎している間に読むのにちょうどいいボリューム。

 

包装紙の内側は立派なガイド書仕様。

嘉穂劇場や旧伊藤伝右衛門邸なども紹介されている。

  

温めたルーを、ごはんを盛った皿によそう。

見た目、ちょっと色が薄く感じるものの、ごくごく普通のカレー。

香りも刺激的でもなく、本当にオーソドックスなカレー。

これを食べてみる。

 

旨い!

特別な味はない。

スパイスが加えられているとか、隠し味が効いているとか、

生クリームが入ってまろやかとか、赤ワインが入っててコクがあるとか、

そういうのはまったくない。

昔ながらの、素朴でシンプルなカレー。

だけどなぜだか、すごく美味しい。

レトルト感がまったくない。

 

見た目も香りもオーソドックス。

 

これは高評価なのも納得の味。

今流行りの、個性的な味ではなく、万人受けするようなカレー。

だからといって、ファミレスやドライブインで出されるような、

安っぽくて陳腐なものでもなく、しっかりとした味わいがある。

最近のカレーと比較すると、スパイスは弱めで、若干しょっぱさがある。

だけど、マサラをふりかけて辛味を足したり、

卵を落として、マイルドにしたりなんて思わない。

レトルトカレーながら、驚くほどに美味しいスタンダードなカレーだった。

 

あまりに美味しかったので、実際にその食堂へ行き、

本物のカレーを食べてみようと思った。

ご丁寧に包装紙の裏に、お店の名前と大体の場所まで掲載されていた。

さっそく詳細な場所を調べようと思ったら・・・。

なんと今年の3月で閉店したとか・・・。

なんてこった、ほんのちょっと遅かった。

このレトルトカレー製造元、一番食品がレシピを譲り受けたのかな?

 

ご当地レトルトカレー。

けっこう買って食べるのだけど、微妙なものも多い。

けれど、このカレーは今のところトップ争いするくらいに美味しいと思った。

トップ争いしているもうひとつは、築上町の宇都宮鎮房 迎撃カレーね。

あれも辛くっておしかった。

吉田茂 迦玲とタイプが異なるので、どっちが一番って決めづらい。

 



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