よろず戯言

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広辞苑

2018-12-14 00:12:21 | 日記・エッセイ・コラム

先週、娘が16歳の誕生日を迎えた。

早いものでもう高校生。

元妻と高校で知りあったのが15のとき。

娘があのときの自分達と同じ歳になったのだ。

 

誕生日の数日前、メールで何が欲しいか訊いていた。

「お風呂で音楽が聴けるものが欲しいそうです」

元妻を介して、そんな回答が来た。

防水仕様のミュージックプレイヤーか・・・けっこうすんだろうな。

誕生日の前日くらいに、帰宅途中に家電店に寄り、それを購入することにしていた。

 

そして誕生日前日。

朝早くに元妻からメールが届く。

「まだプレゼントを買っていないなら、それをやめて、広辞苑が欲しいそうです」

 

広辞苑とな!?

こうじえんって、あの分厚い辞書だよな?

数年に一度改変して、新しく生まれた言葉なんかが追加されてゆき、

数万語も掲載されているという、あの辞書のなかの辞書!

あれを、女子高生が欲するか?

勉強には普通の辞書で事足りるはず・・・。

娘はクイズ王にでもなろうというのか?

 

しかし欲しいというのならば、買ってやろうじゃないの。

たぶん高いだろうが、それでもミュージックプレイヤーよりは安いはず。

これを使ってガンガン勉強してくれればうれしい。

さっそく仕事帰り、職場近くのショッピングモールへと行き、そのなかの書店に立ち寄った。

 

けっこう大きな書店。

資格の参考書やビジネス書なども充実しているし、間違いなく置いてあるだろう。

・・・しかし、辞書のコーナーを探しても見つからない。

参考書とか、学術書のコーナーを見ても置いていない。

店員さんに訊いてみる。

「広辞苑ですか?たぶん置いてないと思いますが・・・少々お待ちください。」

 

やたらクリンクリンのパーマをあてている、メガネの若い女性店員さん。

在庫を確認しに行ったのか?

上司に訊きに行ったのか?

店の奥の方へと行き、しばらくして戻って来た。 

「すみません、広辞苑は置いてないです・・・。」

 

「そうですか、ありがとうございます。」

クリンクリンパーマのメガネの店員さんに礼を言って、書店を後にする。

うーむ、広辞苑ってもしかして、書店で買い求めるものじゃないとか?

デカくて高価だしな、取り寄せてもらうのが一般的なのだろうか?

仕方がない、ネットで買って送ってもらうことにしよう。

ショッピングモールを後にして、自宅に帰ることに。

 

自宅のほど近く。

交差点で信号待ち。

そうだ・・・ダメ元で明屋(はるや)に行ってみるか。

自宅の近くに、明屋書店という、小さな本屋がある。

愛媛県に本社を置く、割と大きな書店チェーン。

中四国を中心に展開している。

そんな明屋書店にふらりと入る。

 

店舗面積は小さい。

さっき立ち寄ったショッピングモール内の書店の半分くらいか。

客もまばらで、静かな店内。

・・・この規模の書店じゃ、広辞苑なんてやっぱり置いてないだろう。

期待せずに、一番奥の辞書コーナーへと行ってみると・・・。

 

掲載項目25万て!

 

あった!

“広辞苑”と書かれた、ひときわデカい直方体の物体が!

白い箱カバーにオレンジの帯。

オニキスカラーの内カバー。

10kgもないと思うけれど、持つとずっしり重い。

 

 

A4サイズ(たぶん)で、この厚み!

 

いやまさか、こんなとこで見つかるなんて。

ダメ元で立ち寄ってみて良かった。

でかくて重たい広辞苑を手にレジに。

 

レジカウンターに広辞苑を乗せる。

店員のヘンな髪型のニイちゃん、一瞬ひるんだように見えた。

だが、値段を告げ、クレジットカードを受け取り、淡々とレジ業務をこなす。

「うっわ、このおっさん広辞苑なんて買っちゃって、なんの仕事しよんやろか?

てか、スマホでググりゃいいし、辞書とか要らなくね?」

そんなことを考えていたかもしれない。

 

字が小さいっ!

 

いつもはナイロンの袋に入れてもらうところ、紙袋に入れてくれた。

さすがにこのサイズの本を入れるのに、ナイロン袋はないか。

ギフトラッピングを頼もうかと思ったが、広辞苑とはどんなものなのか?

やっぱり自分も中を見てみたいので、そのまま持ち帰った。

 

帰宅して、さっそく広辞苑を開いて見てみた。

な・・なんて字が小さいんだ!

ふつうの辞書よりもページ面積が大きいくせに、字が小さくてびっしりと掲載されている。

こりゃ年配の方は、虫眼鏡がなきゃ読めないぞ。

それこそ、今流行りのハズキルーペとセットじゃなきゃダメだ。

 

自分が持っている辞書(左)と、広辞苑(右)との比較。

広辞苑は字が小さくて、ぎっしり詰め込まれているのが判る。

 

ペラペラとめくって、いくつか掲載されている単語を見てみた。

すげえな、政治用語やら学術用語、世界の民族風習やら宗教行事など、

通常の辞書にゃ掲載されていないような単語があふれている。

動植物の名前なんかも豊富に掲載されていて圧巻だ。

ううむ・・・ちょっと自分も欲しくなった。

 

翌日、娘の誕生日当日。

自分は休みだったので、朝から段ボールに広辞苑を詰める。

空いたスペースに、娘が好きなお菓子なんかを詰めて、

一筆箋にメッセージをしたため同封し、それを郵便局から発送した。

翌朝には届いたはず。

 

付録付き。

付録は開いていないので、内容は判らない。

 

数日後、娘からメールが届いた。

「思っていたよりも大きくてびっくりしました!大切に使います!ありがとう」

喜んでもらえて良かった。

それにしても、年頃の女の子らしく服とかバッグとかを欲しがるんじゃなく、

広辞苑を欲しがるなんて、娘も変わってるなあ・・・とつくづく感じた。

そこらへん、わしに似たのかも・・・なんて思ったり。

 

娘よ、誕生日おめでとう!

16のとき、自分も必死に勉強していたのを思い出した。

あのときの努力が報われたのに、

それをフイにして、何もかも失い、今の堕落した自分が居る。

娘には選択を誤らないで、光り輝く未来を歩んでもらいたい。

 

自分が高校時代から使用している国語辞典との比較。

 

それはさておき、今回思ったのが、辞書が書店から消えつつあるということ。

さすがに学生向けの辞書は充実していた。

国語辞典のみならず、漢和辞典や英和辞典、古文辞典など色々ある。

だが、一般的な辞書は、あまり置いてない。

コーナーも狭くって選択肢も少ない。

 

スマホやタブレットなどで簡単に検索できるようになってしまい、

辞書なんて必要なくなってしまったからだろうか?

息子も昨年プレゼントされた電子辞書を使っているし、

重くて持ち歩きに不便で、探すのに時間もかかる、掲載言語にも限りがある。

もう紙の辞書を使う時代じゃあなくなったのかもしれないなあ。

そんなふうに感じた。

 

明屋書店を見なおした!

 

やっぱり重みがあって、自分でページをめくって探すのが楽しいんだよなあ。

辞書ってそういうものなんだろうと思うのだが、それは時代錯誤なんだろう。

資源の側面から見て、ペーパーレス化は良いことだけど、

パソコンソフトやOA機器のマニュアルもほとんど電子化されてしまい、

とりわけゲームのマニュアルが無くなってしまったことが一番悲しい。

 

やっぱり慣れるまでは手元に置いて、それを見ながらプレイしたい。

スイッチ、未だに解らないことだらけなんだよ!

電源切っても、アダプター抜いていてもゲーム起動中みたいだし、

マリオカート8DXも、コースアウトしない仕様を解除する方法が解らん!

いや、マニュアル開けってことだろうが、そのマニュアルを呼び出しても解らない。

探しきれないだけ?

電子マニュアルは嫌いじゃ。

 

広辞苑に付いていたマーク。

この種を蒔いているっぽい人は何だろう?

 

娘は広辞苑を読んでいるとき、父親は写真週刊誌を読む。

グラビア目的じゃないぞ、ゴーンの記事が読みたくて買ったんだ!

 

でもって今日は自分の誕生日。

娘の誕生日の一週間後が自分の誕生日。

自分でケーキを買ってひとりで食べた。

 



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